寝室温度の早朝血圧上昇に対する影響

「緒言」血圧の調節に関わる因子として, 自律神経系や内分泌系などの内的因子と, 身体および精神活動などの外的因子がある. これらにより, 血圧には日内変動が生まれる. 一般的に血圧の最低値は午前2時頃であり, 午前5時頃から上昇して午前11時頃ピークを迎えると再び下降する. 睡眠中には副交感神経系が優位であるが, エピネフリンおよびノルエピネフリンの分泌が早朝にピークを迎えるため, 交感神経系が優位な状態に移行し, 血圧が上昇すると言われている. 夜間の睡眠からの覚醒と起床行動とともに, 早朝から正午にかけての突然または急激な血圧上昇は正常者にも見られるが, 高血圧患者では特に変動が大きく1)...

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Published in日本温泉気候物理医学会雑誌 Vol. 69; no. 4; pp. 234 - 244
Main Authors 上馬場, 和夫, 王, 紅兵, 許, 鳳浩, 鏡森, 定信, 立瀬, 剛志, 金山, ひとみ, 関根, 道和
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本温泉気候物理医学会 2006
日本温泉気候物理医学会
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ISSN0029-0343
1884-3697
DOI10.11390/onki1962.69.234

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Summary:「緒言」血圧の調節に関わる因子として, 自律神経系や内分泌系などの内的因子と, 身体および精神活動などの外的因子がある. これらにより, 血圧には日内変動が生まれる. 一般的に血圧の最低値は午前2時頃であり, 午前5時頃から上昇して午前11時頃ピークを迎えると再び下降する. 睡眠中には副交感神経系が優位であるが, エピネフリンおよびノルエピネフリンの分泌が早朝にピークを迎えるため, 交感神経系が優位な状態に移行し, 血圧が上昇すると言われている. 夜間の睡眠からの覚醒と起床行動とともに, 早朝から正午にかけての突然または急激な血圧上昇は正常者にも見られるが, 高血圧患者では特に変動が大きく1), これは早朝高血圧と呼ばれている. 早朝高血圧は, 心筋梗塞, 狭心症発作, 突然死, 脳卒中などの心血管疾患が, 覚醒, 起床の6時間前後から正午までの早朝に多発する要因の一つとして考えられている2-6). 一方, 手や顔などの局所および全身の寒冷刺激はα-adrenergic血管収縮および血圧上昇反応を引き起こす7-9).
ISSN:0029-0343
1884-3697
DOI:10.11390/onki1962.69.234