これからの耳鼻咽喉科・頭頸部外科診療における留学と論文発信について
本邦における科学技術の競争力低下が叫ばれて久しい. 医学においてもその傾向は顕著であり, 欧米では医学生が基礎研究に携わるプログラムが必須となっている一方で, 本邦においては医学生が基礎研究に触れる機会は少ない. また, 初期研修医制度によって若手医師がアカデミアから離れやすい状況が, 基礎研究を行う若手医師の減少につながっている. 現在の医学を支えているのは先人の基礎および臨床研究の蓄積であり, 研究成果を学会や論文で発表することは現代の医師が未来の患者になすべき責務と言える. 海外留学は基礎研究への専念や実験手技の習熟に有用である. さらに, 留学は主体的なプレゼンテーション能力や日本に対...
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          | Published in | 日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会会報 Vol. 124; no. 12; pp. 1565 - 1569 | 
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| Main Author | |
| Format | Journal Article | 
| Language | Japanese | 
| Published | 
            一般社団法人 日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会
    
        20.12.2021
     日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会  | 
| Subjects | |
| Online Access | Get full text | 
| ISSN | 2436-5793 2436-5866  | 
| DOI | 10.3950/jibiinkotokeibu.124.12_1565 | 
Cover
| Summary: | 本邦における科学技術の競争力低下が叫ばれて久しい. 医学においてもその傾向は顕著であり, 欧米では医学生が基礎研究に携わるプログラムが必須となっている一方で, 本邦においては医学生が基礎研究に触れる機会は少ない. また, 初期研修医制度によって若手医師がアカデミアから離れやすい状況が, 基礎研究を行う若手医師の減少につながっている. 現在の医学を支えているのは先人の基礎および臨床研究の蓄積であり, 研究成果を学会や論文で発表することは現代の医師が未来の患者になすべき責務と言える. 海外留学は基礎研究への専念や実験手技の習熟に有用である. さらに, 留学は主体的なプレゼンテーション能力や日本に対する俯瞰的な視点を養う場でもある. 留学先で多種多様な研究者と知己を得ることで, 自分の研究ジャンルをこえたコラボレーションや後輩たちの留学先を確保するチャンスにつながる. 臨床医が基礎研究に携わることで新たな視点から疾患を解釈して Clinical Questions および臨床と研究のシナジーを生み出すことが可能であり, これらで得られた新知見を論文化して世界に問うことが新時代の医療革命に必須である. 本稿では基礎研究の重要性および海外留学の実際, そして英語論文を執筆, 投稿する際の Tips について概説する. | 
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| ISSN: | 2436-5793 2436-5866  | 
| DOI: | 10.3950/jibiinkotokeibu.124.12_1565 |