腹腔鏡が診断と切除に有用であった成人Nuck管水腫の1例

• Published in: 日本臨床外科学会雑誌 Vol. 72; no. 10; pp. 2654 - 2658
• Main Authors: 坂本, 一喜, 山口, 智之, 片岡, 直己, 冨田, 雅史, 新保, 雅也, 牧本, 伸一郎
• Format: Journal Article
• Language: Japanese
• Published: 日本臨床外科学会 2011
• Subjects: hydrocele of the canal of Nuck; laparoscopic surgery; Nuck 管水腫; Nuck管水腫; 腹腔鏡
• ISSN: 1345-2843; 1882-5133
• DOI: 10.3919/jjsa.72.2654

症例は51歳，女性．右鼠径部に腫瘤があり増大傾向となったため近医を受診し当院に紹介となった．立位で膨隆する腫瘤を右鼠径部に認め，超音波検査では嚢胞性腫瘤を腹腔から鼠径管内にかけて認め体位により内容物が移動するのが観察された．Nuck管水腫の疑いで手術となり腹腔鏡でアプローチし腹膜外病変であることを確認した上で前方アプローチも併用し完全切除を行った．内鼠径輪の開大を伴っていたためメッシュによる補強を行った．成人のNuck管水腫はまれであるが超音波検査などにより術前診断は比較的容易である．内鼠径輪の開大を伴っていることもあり腹腔側に伸展したNuck管水腫を損傷すること無く安全に切除するためには腹腔鏡が極めて有用であった．