水泳及び陸上運動時肺気量とクロージングボリューム

従来報告されている運動時のPao2低下の原因として, 末梢気道の閉塞が運動中に生じることが関与しているのではないかと考えた。このことを明らかにするために, 大学水泳選手ならびに.体育専攻学生それぞれ7名を被検者として, 陸上と水中における立位, 背位及び腹位のCVと安静時肺気量を測定した。また, 水泳及びサイクリング時の肺気旦分画も測定し, 運動時のFRCとCCの関係について検討した。 本研究の被検者のCVは一般健常人に比較し有意に低く, 身体トレーニングの影響は末梢気道にも及ぶことがうかがわれた。 CVの測定値に体位の相違による差異は認められなかったが, 水中ではCVは有意に増大した。 安静...

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Published in体力科学 Vol. 30; no. 4; pp. 220 - 227
Main Authors 池上, 晴夫, 黒川, 隆志
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人日本体力医学会 01.08.1981
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ISSN0039-906X
1881-4751
DOI10.7600/jspfsm1949.30.220

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Summary:従来報告されている運動時のPao2低下の原因として, 末梢気道の閉塞が運動中に生じることが関与しているのではないかと考えた。このことを明らかにするために, 大学水泳選手ならびに.体育専攻学生それぞれ7名を被検者として, 陸上と水中における立位, 背位及び腹位のCVと安静時肺気量を測定した。また, 水泳及びサイクリング時の肺気旦分画も測定し, 運動時のFRCとCCの関係について検討した。 本研究の被検者のCVは一般健常人に比較し有意に低く, 身体トレーニングの影響は末梢気道にも及ぶことがうかがわれた。 CVの測定値に体位の相違による差異は認められなかったが, 水中ではCVは有意に増大した。 安静坐位では, TVはVCのほぼ中位にあり, サイクリング強度の増大にともない吸気と呼気の両側へほぼ均等に拡大した。背位サイクリングでは坐位よりも低肺気量位で呼吸が行なわれ, 呼気側よりも吸気側へのTVの広がりがやや大であった。水中の安静時ではFRCが著減するが, 各泳法とも水泳スピードが増大するにともないTVは吸気側に移動し, ERVは漸増するがIRVは漸減し, FRCが増大する傾向を示した。 背位サイクリングではFRCとCCが接近し, 気道閉塞が1回換気中に生じる可能性が増大した。しかし, 他の運動様式においてはFRCとCCの間にかなりの開きが認められた。
ISSN:0039-906X
1881-4751
DOI:10.7600/jspfsm1949.30.220