高等学校における学校歯科保健活動に関する研究 : 第2報 歯科保健指導が健診結果の認識と受療行動に与える影響

高校生が学校歯科健診の結果をどのように認識しているかについて,質問紙により調査したところ,う蝕については95%の者が診断を正しく認識していたが,歯肉炎については42%にしかすぎなかった。また,治療勧告書を受け取ったにもかかわらず,約半数の生徒は歯科医院を受診していなかった。そこで,高校生の歯肉炎に対する認識を向上させ歯科医院への受診を促すため,歯科健診の機会をとらえ歯科保健指導を行った。また治療勧告書について検討し,その内容を変更した。その結果,歯科保健指導を実施することにより歯肉炎と診断されたことを正しく認識していた生徒の割合は,50%から72%と高くなった。また歯周疾患要観察と診断された生...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published inJOURNAL OF DENTAL HEALTH Vol. 51; no. 2; pp. 145 - 149
Main Authors 徐, 淑子, 原, 久美子, 森下, 真行, 松本, 厚枝
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 口腔衛生学会 2001
日本口腔衛生学会
Japanese Society for Oral Health
Subjects
Online AccessGet full text
ISSN0023-2831
2189-7379
DOI10.5834/jdh.51.2_145

Cover

More Information
Summary:高校生が学校歯科健診の結果をどのように認識しているかについて,質問紙により調査したところ,う蝕については95%の者が診断を正しく認識していたが,歯肉炎については42%にしかすぎなかった。また,治療勧告書を受け取ったにもかかわらず,約半数の生徒は歯科医院を受診していなかった。そこで,高校生の歯肉炎に対する認識を向上させ歯科医院への受診を促すため,歯科健診の機会をとらえ歯科保健指導を行った。また治療勧告書について検討し,その内容を変更した。その結果,歯科保健指導を実施することにより歯肉炎と診断されたことを正しく認識していた生徒の割合は,50%から72%と高くなった。また歯周疾患要観察と診断された生徒については,「歯肉炎があった」と正しく認識していたのは26%から73%と高くなった。歯科健診結果を認識していた生徒のうち,う蝕治療のために受診した生徒はわずかに増えたが,歯肉炎については受診率は向上しなかった。歯科健診の際に保健指導を行い,治療勧告書を改善することによって,歯肉炎に対する生徒の認識を向上させることができた。しかし,健診結果を認識していても,それが必ずしも受療行動と結び付かないことも明らかになった。以上のことから,今後は歯科保健だけにとらわれず高校生の生活習慣全体をとらえ,ヘルスプロモーションを基盤とした健康教育を導入する必要があると考えられた。
ISSN:0023-2831
2189-7379
DOI:10.5834/jdh.51.2_145