ワークサイトヘルスプロモーション(WHP)の観点にたった産業歯科保健の取り組み : 第2報 歯科疾患に関連した労働時間の損失
社会人の歯科的問題の程度を企業の生産性および経済面から把握することを目的とした。福岡市に本社を置く電力供給に関連する大型電気機械を製造する企業の工場部門の全従業員421名を対象とした。年齢は20〜65歳に分布していた。質問紙の配布留置法により過去1年間の歯科的問題に関連した1日休,半日休,遅刻・早退,作業効率の低下の情報を収集した。これらの情報から労働損失時間を算出し,さらに金額にも換算することを試みた。質問紙回収率は96%であった。工場全体で歯科的問題に関連する労働損失経験者は22%で,全損失時間は年間1,154時間,日数換算で144日であった。1人平均労働損失時間は年間2.85時間であった...
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| Published in | JOURNAL OF DENTAL HEALTH Vol. 49; no. 3; pp. 341 - 347 |
|---|---|
| Main Authors | , , , , , , |
| Format | Journal Article |
| Language | Japanese |
| Published |
一般社団法人 口腔衛生学会
1999
日本口腔衛生学会 Japanese Society for Oral Health |
| Subjects | |
| Online Access | Get full text |
| ISSN | 0023-2831 2189-7379 |
| DOI | 10.5834/jdh.49.3_341 |
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| Abstract | 社会人の歯科的問題の程度を企業の生産性および経済面から把握することを目的とした。福岡市に本社を置く電力供給に関連する大型電気機械を製造する企業の工場部門の全従業員421名を対象とした。年齢は20〜65歳に分布していた。質問紙の配布留置法により過去1年間の歯科的問題に関連した1日休,半日休,遅刻・早退,作業効率の低下の情報を収集した。これらの情報から労働損失時間を算出し,さらに金額にも換算することを試みた。質問紙回収率は96%であった。工場全体で歯科的問題に関連する労働損失経験者は22%で,全損失時間は年間1,154時間,日数換算で144日であった。1人平均労働損失時間は年間2.85時間であった。この労働損失は生産高ベースで約1,200万円,生産コストベースで約800万円,人件費ベースで約400万円の損失と算定された。一企業を単位に歯科的問題に関連した欠勤や生産性の低下を把握,収集したとき社会・経済的損失は多大であることがわかった。DMFTやCPIなどの客観的指標にあわせてこれらの情報を明らかにすることは,労使双方に強いインパクトを与えるものであり,産業歯科保健活動の導入,展開に寄与するものであると考える。 |
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| AbstractList | 社会人の歯科的問題の程度を企業の生産性および経済面から把握することを目的とした. 福岡市に本社を置く電力供給に関連する大型電気機械を製造する企業の工場部門の全従業員421名を対象とした. 年齢は20～65歳に分布していた. 質問紙の配布留置法により過去1年間の歯科的問題に関連した1日休, 半日休, 遅刻, 早退, 作業効率の低下の情報を収集した. これらの情報から労働損失時間を算出し, さらに金額にも換算することを試みた. 質問紙回収率は96%であった. 工場全体で歯科的問題に関連する労働損失経験者は22%で. 全損失時間は年間1,154時間, 日数換算で144日であった. 1人平均労働損失時間は年間2.85時間であった. この労働損失は生産高ベースで約1,200万円, 生産コストベースで約800万円, 人件費ベースで約400万円の損失と算定された. 一企業を単位に歯科的問題に関連した欠勤や生産性の低下を把握, 収集したとき社会, 経済的損失は多大であることがわかった. DMFTやCPIなどの客観的指標にあわせてこれらの情報を明らかにすることは, 労使双方に強いインパクトを与えるものであり, 産業歯科保健活動の導入, 展開に寄与するものであると考える. Objects : The purpose of this study was to analyze the impact of dental conditions by estimating hours lost from work due to dental diseases and their requisite treatment. Methods I Subjects were 421 workers aged 20-65 in a factory. Questions were asked about hours lost from work related to dental problems in the past 12 months. Results I Questionnaires were gathered from 405 workers (96%). Twenty-two workers reported an episode of work loss in the past 12 months related to dental problems and dental treatment visits. The total work lost by 405 workers over a year was 1,154 hours. Workers lost an average of 2.85 hours. Then, work loss time was converted into monetary terms. The work loss of 1,154 hours came to 12 million yen in Japanese currency based on factory production, 8 million yen based on costs of production and 4 million yen based on personnel expenses. Conclusion : There may be a low impact individually from dental problems. At the socio-economic level, however, such conditions among workers appear to have a great impact. 社会人の歯科的問題の程度を企業の生産性および経済面から把握することを目的とした。福岡市に本社を置く電力供給に関連する大型電気機械を製造する企業の工場部門の全従業員421名を対象とした。年齢は20〜65歳に分布していた。質問紙の配布留置法により過去1年間の歯科的問題に関連した1日休,半日休,遅刻・早退,作業効率の低下の情報を収集した。これらの情報から労働損失時間を算出し,さらに金額にも換算することを試みた。質問紙回収率は96%であった。工場全体で歯科的問題に関連する労働損失経験者は22%で,全損失時間は年間1,154時間,日数換算で144日であった。1人平均労働損失時間は年間2.85時間であった。この労働損失は生産高ベースで約1,200万円,生産コストベースで約800万円,人件費ベースで約400万円の損失と算定された。一企業を単位に歯科的問題に関連した欠勤や生産性の低下を把握,収集したとき社会・経済的損失は多大であることがわかった。DMFTやCPIなどの客観的指標にあわせてこれらの情報を明らかにすることは,労使双方に強いインパクトを与えるものであり,産業歯科保健活動の導入,展開に寄与するものであると考える。 社会人の歯科的問題の程度を企業の生産性および経済面から把握することを目的とした。福岡市に本社を置く電力供給に関連する大型電気機械を製造する企業の工場部門の全従業員421名を対象とした。年齢は20〜65歳に分布していた。質問紙の配布留置法により過去1年間の歯科的問題に関連した1日休,半日休,遅刻・早退,作業効率の低下の情報を収集した。これらの情報から労働損失時間を算出し,さらに金額にも換算することを試みた。質問紙回収率は96%であった。工場全体で歯科的問題に関連する労働損失経験者は22%で,全損失時間は年間1,154時間,日数換算で144日であった。1人平均労働損失時間は年間2.85時間であった。この労働損失は生産高ベースで約1,200万円,生産コストベースで約800万円,人件費ベースで約400万円の損失と算定された。一企業を単位に歯科的問題に関連した欠勤や生産性の低下を把握,収集したとき社会・経済的損失は多大であることがわかった。DMFTやCPIなどの客観的指標にあわせてこれらの情報を明らかにすることは,労使双方に強いインパクトを与えるものであり,産業歯科保健活動の導入,展開に寄与するものであると考える。 |
| Author | 中村, 寿和 中村, 清徳 筒井, 昭仁 堀口, 逸子 沼口, 千佳 西本, 美恵子 中村, 譲治 |
| Author_FL | NAKAMURA George NAKAMURA Kiyonori NAKAMURA Suwa NUMAGUCHI Chika TSUTSUI Akihito NISHIMOTO Mieko HORIGUCHI Itsuko |
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| PublicationYear | 1999 |
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| References | 18) FEAVER G. P. Occupational dentistry: a review of 100 years of dental care in the workplace. J.Soc.Occup.Med.. (1988) vol.38, p.41-43. doi:10.1093/occmed/38.1-2.41 2) 堀口, 逸子. ほか. ワークサイトヘルスプロモーション(WHP)の観点にたった産業歯科保健の取り組み : プリシードプロシードモデルに基づいた質問紙調査. 口腔衛生学会雑誌. 有限責任中間法人日本口腔衛生学会. (1998) vol.48, no.1, p.60-68. http://search.jamas.or.jp/link/ui/1998137626 6) BERTERA R. L. Planning and implementing health promotion in the workplace: a case study of the Du Pont Company experience. Health Educ.Q.. (1990) vol.17, p.307-327. doi:10.1177/109019819001700307 12) 原 康二. ほか. 労働者を対象とした自覚症状, 衛生意識などについての意識調査. 口腔衛生学会雑誌. (1995) vol.45, no.4, p.518-519. http://search.jamas.or.jp/link/ui/1996068364 15) GIFT H. C. The social impact of dental problems and visits. Am.J.Pubic Health. (1992) vol.82, p.1663-1668. 16) HOLLISTER M. C. The association of oral status with systemic health, quality of life, and economic productivity. J.Dent.Educ.. (1993) vol.57, p.901-912. 23) SCHOU L. Oral health promotion at worksites. Int.Dent.J.. (1989) vol.39, p.122-128. 4) OPATZ J. P. ヘルスプロモーションの経済評価 -先進的事例に見る Economic Impact of Worksite Health Promotion. サイエンティスト社. (1995) vol.3-28,211-229 17) REISINE S. T. Dental health and public policy: the social impact of dental disease. Am.J.Public Health. (1985) vol.75, p.27-30. 19) 厚生統計協会. 国民衛生の動向. 厚生の指標. (1998) vol.45, p.37-39. 5) O’DONELL M. P. Health promotion in the workplace. John Wiley & Sons Inc.. (1984 3) GREEN L. W. ヘルスプロモーション PRECEDE-PROCEED モデルによる活動の展開. 医学書院. (1997) p.171-120. 8) 勝山博信. 某造船所における傷病休業統計の推移. 産衛誌. (1995) vol.37, p.330. 21) 中村譲治. 臨床予防プログラムの医療経済分析-はたして予防歯科は経営的に成りたつのか-. 歯科評論. (1997) vol.651, p.117-128. 7) 松原亘子. ゆとり休暇のすすめ. 労務行政研究所出版. (1996) p.70-71. 9) 飯田 行恭. ほか. 休業日数に影響を与える要因の分析(Part I) : 生活習慣からの分析. 産業衛生学雑誌. 公益社団法人日本産業衛生学会. (1998) vol.40, no.臨時増刊号, p.203. http://search.jamas.or.jp/link/ui/1998159870 1) 藤田雄三. 労働安全衛生法の改正と今後の方向. 日本労働衛生研究協議会雑誌. (1997) vol.3, p.23-30. 13) REISINE S. T. Dental disease and work loss. J.Dent.Res.. (1984) vol.63, p.1158-1161. 14) REISINE S. T. A longitudinal study of work loss related to dental diseases. Soc.Sci.Med.. (1985) vol.21, p.1309-1314. doi:10.1016/0277-9536(85)90433-2 10) 大江 敏江. ほか. 休業日数に影響を与える要因の分析(Part II) : 検査異常、現病歴からの分析. 産業衛生学雑誌. 公益社団法人日本産業衛生学会. (1998) vol.40, no.臨時増刊号, p.204. http://search.jamas.or.jp/link/ui/1998159871 11) 中谷 敦. ほか. 某事業所(44696名)における病欠者(一週間以上)実態調査. 産業衛生学雑誌. 公益社団法人日本産業衛生学会. (1998) vol.40, no.臨時増刊号, p.205. http://search.jamas.or.jp/link/ui/1998159872 20) 吉村 浩行. 佐世保重工業における歯科保健事業. 健康保険. 健康保険組合連合会. (1996) vol.50, no.7, p.35-40. 22) 西方 寿和. ほか. 職場における口腔のヘルスプロモーションの展開 第2報 プリシードモデルを利用した健康学習教室の展開. 口腔衛生学会雑誌. (1997) vol.47, no.4, p.616-617. http://search.jamas.or.jp/link/ui/1998052055 |
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