永久歯列を有する心身障害児 (者) の口腔管理状況

近年, 心身障害児 (者) の口腔疾患に対する関心は高まってきている.当科でも, 初診来院児の2割以上を占めているのが現状である.そのうち定期的に口腔管理を受け, 現在は永久歯列に達している心身障害児 (者) 171名 (男子104名, 女子67名) を対象に調査を行った.対象児 (者) の平均年齢は18歳4か月であり, 障害の内訳では精神的障害を主症状とするものが最も多く, 次いで身体的障害, 自閉症の順であった.対象児 (者) の口腔内状況を永久歯の齲蝕罹患状況でみると, 一人平均DMF歯数は10.94歯とやや高い値を示したが, その多くは処置歯であった.初診来院時の歯年齢別に永久歯齲蝕罹...

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Published in昭和歯学会雑誌 Vol. 17; no. 2; pp. 165 - 170
Main Authors 井上, 美津子, 山崎, 徹也, 佐々, 竜二, 山下, 登
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 昭和大学・昭和歯学会 1997
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ISSN0285-922X
2186-5396
DOI10.11516/dentalmedres1981.17.165

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Summary:近年, 心身障害児 (者) の口腔疾患に対する関心は高まってきている.当科でも, 初診来院児の2割以上を占めているのが現状である.そのうち定期的に口腔管理を受け, 現在は永久歯列に達している心身障害児 (者) 171名 (男子104名, 女子67名) を対象に調査を行った.対象児 (者) の平均年齢は18歳4か月であり, 障害の内訳では精神的障害を主症状とするものが最も多く, 次いで身体的障害, 自閉症の順であった.対象児 (者) の口腔内状況を永久歯の齲蝕罹患状況でみると, 一人平均DMF歯数は10.94歯とやや高い値を示したが, その多くは処置歯であった.初診来院時の歯年齢別に永久歯齲蝕罹患状態をみたところ, 歯年齢が低いものほどDMF歯数が低い傾向がみられ, とくに喪失歯でその傾向が顕著であった.また, 全身麻酔下での歯科治療経験のあるものは, ないものに比べて現在のDMF歯数が高くなっていたが, これは初診時のDMF (def) の高さに起因していた.乳歯列期から長期管理を受けてきた対象児 (者) の齲蝕罹患状況をみると, 混合歯列後期から永久歯齲蝕の増加傾向が明らかであったことから, 今後この時期の管理方法に検討が必要と思われた.
ISSN:0285-922X
2186-5396
DOI:10.11516/dentalmedres1981.17.165