COVID-19診療体制における職員のこころの健康保持

世界的災害となったCOVID-19の流行は,医療の逼迫を招いた。聖マリアンナ医科大学病院では,災害医療体制をとりつつも平常時と同等の日常診療も続けた。大きな負担がかかった職員に対して,初期段階から職員の心理的負担への対策に着手した。本稿では,惨事ストレスや医療従事者の心理的特性を踏まえ,われわれが立案実行したこころの健康保持対策について報告する。今回の職員支援は,多岐にわたる活動となり,災害など非常事態下で医療従事者にかかる負担とそれに伴う苦痛について深く知る機会となった。われわれは,日常の臨床精神医学に基づく知識と経験でこれに対応した。個人から組織の水準まで幅広く困難を生じており,適切な支援...

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Published in聖マリアンナ医科大学雑誌 Vol. 51; no. Suppl; pp. S139 - S147
Main Authors 岡田, 智幸, 木下, 直紀, 古茶, 大樹, 櫛野, 宣久
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 学校法人 聖マリアンナ医科大学医学会 2024
聖マリアンナ医科大学医学会
St. Marianna University Society of Medical Science
Subjects
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ISSN0387-2289
2189-0285
DOI10.14963/stmari.51.s139

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Summary:世界的災害となったCOVID-19の流行は,医療の逼迫を招いた。聖マリアンナ医科大学病院では,災害医療体制をとりつつも平常時と同等の日常診療も続けた。大きな負担がかかった職員に対して,初期段階から職員の心理的負担への対策に着手した。本稿では,惨事ストレスや医療従事者の心理的特性を踏まえ,われわれが立案実行したこころの健康保持対策について報告する。今回の職員支援は,多岐にわたる活動となり,災害など非常事態下で医療従事者にかかる負担とそれに伴う苦痛について深く知る機会となった。われわれは,日常の臨床精神医学に基づく知識と経験でこれに対応した。個人から組織の水準まで幅広く困難を生じており,適切な支援では組織の機能が維持できないものであった。幸い保健管理センターが把握している限りでは,COVID-19流行の前後でこころの健康を理由として休職した職員は増えていない。われわれの経験は,単に災害時の支援にとどまるものではなく,医療従事者の産業衛生に関して,大きな示唆を与えるものであった。
ISSN:0387-2289
2189-0285
DOI:10.14963/stmari.51.s139