PCR法にて同定した消化管外アニサキス症による絞扼性イレウスの1例

患者は31歳,男性。突然下腹部痛と嘔吐が出現し,翌日腹痛が増強したため,近医より当院救急外来を紹介受診した。受診時下腹部を中心に圧痛・筋性防御を認めた。腹部造影CTにて腹水貯留と下腹部に拡張した小腸と腸間膜の集束像を認めた。発症18時間後に絞扼性イレウスと診断して緊急手術を施行した。腹腔内に血性腹水500mLを認め,回腸末端より約10cm口側回腸の間膜対側から小腸間膜に向かう約2cmの長さの索状物によって約80cmの回腸が絞扼されていた。手術は回腸部分切除術を施行した。この索状物は多核白血球浸潤を伴う肉芽腫で,内部に壊死に陥った虫体を認め,この虫体をPCR法にてAnisakis simplex...

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Published inNihon Fukubu Kyukyu Igakkai Zasshi (Journal of Abdominal Emergency Medicine) Vol. 29; no. 6; pp. 925 - 929
Main Authors 西尾, 公利, 伊藤, 元博, 北村, 文近, 立花, 進, 土屋, 十次, 熊澤, 伊和生
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本腹部救急医学会 2009
Japanese Society for Abdominal Emergency Medicine
Subjects
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ISSN1340-2242
1882-4781
DOI10.11231/jaem.29.925

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Summary:患者は31歳,男性。突然下腹部痛と嘔吐が出現し,翌日腹痛が増強したため,近医より当院救急外来を紹介受診した。受診時下腹部を中心に圧痛・筋性防御を認めた。腹部造影CTにて腹水貯留と下腹部に拡張した小腸と腸間膜の集束像を認めた。発症18時間後に絞扼性イレウスと診断して緊急手術を施行した。腹腔内に血性腹水500mLを認め,回腸末端より約10cm口側回腸の間膜対側から小腸間膜に向かう約2cmの長さの索状物によって約80cmの回腸が絞扼されていた。手術は回腸部分切除術を施行した。この索状物は多核白血球浸潤を伴う肉芽腫で,内部に壊死に陥った虫体を認め,この虫体をPCR法にてAnisakis simplex sensu strictoと診断し,最終的に消化管外アニサキス症による絞扼性イレウスと診断した。開腹歴のない絞扼性イレウスの原因として,消化管外アニサキス症を念頭に置く必要がある。
ISSN:1340-2242
1882-4781
DOI:10.11231/jaem.29.925