下部消化管穿孔手術の創に対する遅延一次縫合の有用性について

手術において術野が汚染されている場合,高率に手術部位感染をおこし創部の開放および洗浄が必要となる。われわれは術中に創汚染がある場合,筋腱膜層を縫合後は皮膚,皮下脂肪組織は開放,wet to dry dressing法で管理し術後5~7日目の時点で感染がないと判断できる創に遅延一次縫合している。今回下部消化管穿孔手術における創傷管理の妥当性を検討した。2006年1月から2007年12月の2年間に当院にて下部消化管穿孔にて緊急手術を施行した21例を対象とし,全例術後開放創とし遅延一次治癒したもの,遅延一次縫合ができず二次治癒としたものの背景因子と手術部位感染のリスク因子を検討した。遅延一次縫合にて...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published inNihon Fukubu Kyukyu Igakkai Zasshi (Journal of Abdominal Emergency Medicine) Vol. 30; no. 7; pp. 893 - 898
Main Authors 嶋田, 元, 武田, 崇志, 須藤, 一起, 鈴木, 研裕, 大東, 誠司, 柵瀬, 信太郎, 高橋, 理, 小野寺, 久, 塩崎, 弘憲, 井上, 弘
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本腹部救急医学会 2010
Japanese Society for Abdominal Emergency Medicine
Subjects
Online AccessGet full text
ISSN1340-2242
1882-4781
DOI10.11231/jaem.30.893

Cover

More Information
Summary:手術において術野が汚染されている場合,高率に手術部位感染をおこし創部の開放および洗浄が必要となる。われわれは術中に創汚染がある場合,筋腱膜層を縫合後は皮膚,皮下脂肪組織は開放,wet to dry dressing法で管理し術後5~7日目の時点で感染がないと判断できる創に遅延一次縫合している。今回下部消化管穿孔手術における創傷管理の妥当性を検討した。2006年1月から2007年12月の2年間に当院にて下部消化管穿孔にて緊急手術を施行した21例を対象とし,全例術後開放創とし遅延一次治癒したもの,遅延一次縫合ができず二次治癒としたものの背景因子と手術部位感染のリスク因子を検討した。遅延一次縫合にて治癒したものは21例中7例(33%)であった。また遅延一次治癒できなかったものとしてSeptic shock例が多く,平均ICU入室期間が遷延し有意差を認めた。汚染創を開放創とする原則を考えると遅延一次治癒をもちいることで感染コントロールなど患者負担の軽減をはかることができる。
ISSN:1340-2242
1882-4781
DOI:10.11231/jaem.30.893