最大下の腕, 脚, および「腕+脚」作業に対する酸素摂取量, 心拍数, 換気量応答

本研究では, 作業に参加する筋量や筋群の数が最大下作業中の呼吸循環応答におよぼす効果を明らかにするために, 3名の健康な男子被検者を対象として, 最大下の腕, 脚, および「腕+脚」作業中の酸素摂取量 (VO2) , 心拍数 (HR) , 換気量 (VE) 応答を比較検討した。「腕+脚」作業では, 腕と脚の作業強度の総和に対する腕作業強度の占める割合 (A/A+L) を変えて作業を行なわせた。本研究で得られた結果は次のようである。 1) 同一の作業強度におけるVO2とVEは腕作業で急激な上昇がみられた, 「腕+脚」作業では, A/A+Lに関係なく同様の結果となった。脚作業の結果は「腕+脚」作業...

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Published in体力科学 Vol. 29; no. 1; pp. 5 - 10
Main Authors 矢田, 秀昭, 朝比奈, 一男, 湯浅, 景元
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人日本体力医学会 01.03.1980
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ISSN0039-906X
1881-4751
DOI10.7600/jspfsm1949.29.5

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Summary:本研究では, 作業に参加する筋量や筋群の数が最大下作業中の呼吸循環応答におよぼす効果を明らかにするために, 3名の健康な男子被検者を対象として, 最大下の腕, 脚, および「腕+脚」作業中の酸素摂取量 (VO2) , 心拍数 (HR) , 換気量 (VE) 応答を比較検討した。「腕+脚」作業では, 腕と脚の作業強度の総和に対する腕作業強度の占める割合 (A/A+L) を変えて作業を行なわせた。本研究で得られた結果は次のようである。 1) 同一の作業強度におけるVO2とVEは腕作業で急激な上昇がみられた, 「腕+脚」作業では, A/A+Lに関係なく同様の結果となった。脚作業の結果は「腕+脚」作業と同様であった。 2) 同一の作業強度やVO2におけるHRは腕作業でもっとも高く, A/A+Lが14~33%の「腕+脚」作業でもっとも低かった。脚作業では, A/A+Lが43~60%の「腕+脚」作業よりもわずかに高いHRを示す傾向がみられた。 3) 以上のように, 他の作業様式に比較して腕作業ではHRの上昇が著しいことから, 作業に参加する筋量や筋群の数が少ないほど1回拍出量は減少し, また精神的緊張状態に関連して交感神経性緊張が高くなることが考えられる。さらに, 「腕+脚」作業では同一の作業強度やVO2におけるHRはA/A+Lの変化によって変動するが, 1回拍出量の決定因子である心室充満圧と正の相関関係にあるVEが変化しなかったことから, 多くの筋群が活動に参加するときには, 作業中の交感神経性緊張は各作業筋群への負荷強度の配分方式によって決定されると考えられる。 本研究の一部は1977年10月, 第32回日本体力医学会で発表した.
ISSN:0039-906X
1881-4751
DOI:10.7600/jspfsm1949.29.5