難治性創傷治療に対する形成外科の果たす役割:細胞,増殖因子による非手術的治療の現状と展開

重症虚血肢に発生する難治性創傷は,通常の植皮術や皮弁移植術のみでは対応困難なことが多い。われわれは,現行の治療法では治療不能とされてきた最重症例に対し,種々の再生治療を応用した創傷治療を実施し良好な結果を得てきたので自験例を紹介しつつ,難治性創傷治療に果たす形成外科の今後の役割について述べる。現行の治療手段では救肢困難な虚血性下肢難治性潰瘍患者を対象に,自家骨髄細胞ないしは徐放型塩基性線維芽細胞増殖因子を用いて血管再生治療および創傷再生治療を実施した。創傷の閉鎖は自然な創収縮や上皮化を期待するか,追加植皮を行った。その結果,多くの症例で創閉鎖および自立歩行による退院を達成した。われわれの経験し...

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Published inJapanese Journal of Surgical Wound Care Vol. 1; no. 3; pp. 107 - 111
Main Authors 水野, 博司, 宮本, 英子, 古元, 将和, 百束, 比古, 林, 礼人, 宮本, 正章
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本創傷外科学会 2010
Japan Society for Surgical Wound Care
Subjects
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ISSN1884-880X
DOI10.11310/jsswc.1.107

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Summary:重症虚血肢に発生する難治性創傷は,通常の植皮術や皮弁移植術のみでは対応困難なことが多い。われわれは,現行の治療法では治療不能とされてきた最重症例に対し,種々の再生治療を応用した創傷治療を実施し良好な結果を得てきたので自験例を紹介しつつ,難治性創傷治療に果たす形成外科の今後の役割について述べる。現行の治療手段では救肢困難な虚血性下肢難治性潰瘍患者を対象に,自家骨髄細胞ないしは徐放型塩基性線維芽細胞増殖因子を用いて血管再生治療および創傷再生治療を実施した。創傷の閉鎖は自然な創収縮や上皮化を期待するか,追加植皮を行った。その結果,多くの症例で創閉鎖および自立歩行による退院を達成した。われわれの経験した治療手法は救肢率の向上に寄与していることが分かったが,これらを達成するためには他科との連携した集学的治療を実践するとともに,形成外科医も手術のみならず種々の治療手段を動員することが今後重要になると思われた。
ISSN:1884-880X
DOI:10.11310/jsswc.1.107