回盲部が嵌頓した左鼠径ヘルニアの1例

症例は88歳,男性。腹部膨満を主訴に当院紹介となった。腹部は著明に膨満し,左陰囊は小児頭大に腫大していた。CT検査で左陰囊内には径90×70mmに拡張した腸管が認められ,イレウスの状態を呈していたが腸管虚血は認めなかった。用手還納を試みると陰囊腫大は軽度改善したが,完全な還納は不可能であった。翌日まで経過観察を行ったが,改善なく手術を施行した。脱出腸管は回盲部であり,腹腔内への還納は可能であった。後壁補強はParietex ProGripTMメッシュ(COVIDEN社)を用い,Lichtenstein法で行った。術後経過は良好であり,術後13日目に退院となった。回盲部を内容とする鼠径ヘルニアの...

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Bibliographic Details
Published inNihon Fukubu Kyukyu Igakkai Zasshi (Journal of Abdominal Emergency Medicine) Vol. 34; no. 7; pp. 1325 - 1329
Main Authors 高山, 亘, 佐藤, 護, 原田, 和明
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本腹部救急医学会 2014
Japanese Society for Abdominal Emergency Medicine
Subjects
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ISSN1340-2242
1882-4781
DOI10.11231/jaem.34.1325

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Summary:症例は88歳,男性。腹部膨満を主訴に当院紹介となった。腹部は著明に膨満し,左陰囊は小児頭大に腫大していた。CT検査で左陰囊内には径90×70mmに拡張した腸管が認められ,イレウスの状態を呈していたが腸管虚血は認めなかった。用手還納を試みると陰囊腫大は軽度改善したが,完全な還納は不可能であった。翌日まで経過観察を行ったが,改善なく手術を施行した。脱出腸管は回盲部であり,腹腔内への還納は可能であった。後壁補強はParietex ProGripTMメッシュ(COVIDEN社)を用い,Lichtenstein法で行った。術後経過は良好であり,術後13日目に退院となった。回盲部を内容とする鼠径ヘルニアの本邦報告例は自験例を含め39例で,左側の発症は5例目とまれな症例と考えられた。鼠径部から陰囊への膨隆が著明な症例では,回盲部嵌頓の可能性を考える必要があると思われた。
ISSN:1340-2242
1882-4781
DOI:10.11231/jaem.34.1325