平滑筋収縮制御タンパク質h-caldesmonに注目した消化管運動機能調節の解析

正常な消化管機能には平滑筋の収縮制御が不可欠である.平滑筋の収縮制御にcaldesmon(CaD)は中心的役割を担っている.CaDには低分子型(l-CaD)と高分子型(h-CaD)の2つのアイソフォームが存在する.h-CaDは分化型平滑筋に特異的に高発現するが,その意義については解明されていない.そこで我々はh-CaDを欠失させ,l-CaDのみ発現するh-CaD特異的欠失(h-CaD-KO)マウスを作成し解析した.h-CaD-KOと野生型マウスを比較すると,大腸の組織形態とCaD以外の平滑筋関連タンパク質の発現に差異は認めなかったが,食物の消化管通過時間の延長を示し,蠕動運動の減弱が示唆された...

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Published in岩手医学雑誌 Vol. 71; no. 1; pp. 9 - 19
Main Authors 菅井, 有, 祖父江, 憲治, 松本, 主之, 木村, 眞吾, 真柳, 平, 朝倉, 謙輔
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 岩手医学会 01.04.2019
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ISSN0021-3284
2434-0855
DOI10.24750/iwateishi.71.1_9

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Summary:正常な消化管機能には平滑筋の収縮制御が不可欠である.平滑筋の収縮制御にcaldesmon(CaD)は中心的役割を担っている.CaDには低分子型(l-CaD)と高分子型(h-CaD)の2つのアイソフォームが存在する.h-CaDは分化型平滑筋に特異的に高発現するが,その意義については解明されていない.そこで我々はh-CaDを欠失させ,l-CaDのみ発現するh-CaD特異的欠失(h-CaD-KO)マウスを作成し解析した.h-CaD-KOと野生型マウスを比較すると,大腸の組織形態とCaD以外の平滑筋関連タンパク質の発現に差異は認めなかったが,食物の消化管通過時間の延長を示し,蠕動運動の減弱が示唆された.そこで大腸を用いた筋収縮実験を行い,平滑筋収縮力の有意な減弱を見出した.これらの結果から消化管平滑筋の収縮制御においてh-CaDはl-CaDでは代替されない特異的機能を持つことが示唆された.
ISSN:0021-3284
2434-0855
DOI:10.24750/iwateishi.71.1_9