胃癌術後腹膜再発によるY脚の閉塞症に対して姑息的バイパス手術を施行した5例

胃癌手術後に発生した腹膜播種再発によるY脚の閉塞症5例に対して姑息的バイパス手術を行った.先行する胃切除術式は幽門側胃切除術1例,胃全摘術4例で,いずれもRoux-en-Y再建法が施行されていた.胃癌の組織型は全例が未分化型腺癌で,4例は初回手術時に腹膜播種あるいは腹腔内洗浄細胞診が陽性であった.胃切除術からバイパス手術までの平均期間は448日間,バイパス手術後の平均生存期間は82日間であった.4例が退院可能でその内の2例には在宅高カロリー輸液療法が行われた.退院可能例の平均在宅療養期間は33日間であった.67歳女性症例の臨床経過を呈示する.Y脚の閉塞症は緊急処置を要する状態であるが,原因が腹...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 71; no. 1; pp. 94 - 98
Main Authors 徳毛, 誠樹, 山川, 俊紀, 塩田, 邦彦, 岡, 智, 大橋, 龍一郎, 小野田, 裕士
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2010
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.71.94

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Summary:胃癌手術後に発生した腹膜播種再発によるY脚の閉塞症5例に対して姑息的バイパス手術を行った.先行する胃切除術式は幽門側胃切除術1例,胃全摘術4例で,いずれもRoux-en-Y再建法が施行されていた.胃癌の組織型は全例が未分化型腺癌で,4例は初回手術時に腹膜播種あるいは腹腔内洗浄細胞診が陽性であった.胃切除術からバイパス手術までの平均期間は448日間,バイパス手術後の平均生存期間は82日間であった.4例が退院可能でその内の2例には在宅高カロリー輸液療法が行われた.退院可能例の平均在宅療養期間は33日間であった.67歳女性症例の臨床経過を呈示する.Y脚の閉塞症は緊急処置を要する状態であるが,原因が腹膜播種である場合には癌終末期の姑息的治療であるため手術適応は難しい.症例ごとに説明と合意を得ながら治療方針をきめるべきである.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.71.94