腹腔鏡下胃切除術後の内ヘルニアに対して腹腔鏡下アプローチが有用であった3例

腹腔鏡下胃切除術(以下,LG)は術後の癒着が軽度と考えられるが,一方で内ヘルニアなどの新たな問題が提唱されている。今回,われわれはLG後の内ヘルニアに対して腹腔鏡下根治術を施行した3例を経験したので報告する。3例の平均59.7歳,男性2例,女性1例。胃癌に対していずれもLG・Roux-en-Y(以下,R-Y)結腸前再建を施行され,術後平均18.7ヵ月に腹痛で来院した。全例で造影CTにてWhirl Signを認め内ヘルニアと診断され,保存的治療で改善を認めず,腹腔鏡下に手術の方針となった。1例では小腸穿孔が疑われ開腹移行を要したが,他の2例では完全腹腔鏡下に内ヘルニアを整復しえた。LG後の内ヘル...

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Published inNihon Fukubu Kyukyu Igakkai Zasshi (Journal of Abdominal Emergency Medicine) Vol. 35; no. 5; pp. 609 - 612
Main Authors 伊藤, 希, 堀口, 寛之, 神津, 慶多, 高畑, りさ, 平木, 修一, 山本, 順司, 長谷, 和生, 野村, 信介, 吉田, 一路, 山寺, 勝人, 兼松, 恭平, 松本, 佑介, 辻本, 広紀
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本腹部救急医学会 2015
Japanese Society for Abdominal Emergency Medicine
Subjects
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ISSN1340-2242
1882-4781
DOI10.11231/jaem.35.609

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Summary:腹腔鏡下胃切除術(以下,LG)は術後の癒着が軽度と考えられるが,一方で内ヘルニアなどの新たな問題が提唱されている。今回,われわれはLG後の内ヘルニアに対して腹腔鏡下根治術を施行した3例を経験したので報告する。3例の平均59.7歳,男性2例,女性1例。胃癌に対していずれもLG・Roux-en-Y(以下,R-Y)結腸前再建を施行され,術後平均18.7ヵ月に腹痛で来院した。全例で造影CTにてWhirl Signを認め内ヘルニアと診断され,保存的治療で改善を認めず,腹腔鏡下に手術の方針となった。1例では小腸穿孔が疑われ開腹移行を要したが,他の2例では完全腹腔鏡下に内ヘルニアを整復しえた。LG後の内ヘルニアに対する腹腔鏡によるアプローチは不要な開腹を回避しうる。回腸末端から口側に向けて小腸を検索することで自然にヘルニアを整復できる。LG・R─Y再建術施行の際は,間膜欠損部を閉鎖し術後内ヘルニアを予防すべきである。
ISSN:1340-2242
1882-4781
DOI:10.11231/jaem.35.609