内視鏡的経鼻膵管ドレナージ後,外科的切除を行い治癒しえた出血性縦隔内膵仮性囊胞の1例

縦隔内膵仮性囊胞は経過中に重篤な胸腔内合併症を発症することもある比較的まれな男性に多い疾患である。今回,女性の出血性縦隔内膵仮性囊胞に対し内視鏡的膵管ドレナージと外科的切除を行い治癒した1例を経験した。症例は51歳, 女性。慢性膵炎で当院通院中, 心窩部痛を主訴に当院救急外来を受診した。胸腹部CTで膵尾部から食道裂孔を経て気管背側に至る内部高吸収域を伴う囊胞性病変を認め,慢性膵炎急性増悪による出血性縦隔内膵仮性囊胞と診断した。全身状態は安定しており,内視鏡的逆行性膵管造影を行った。主膵管と囊胞との交通が確認されたため,内視鏡的経鼻膵管ドレナージを開始した。暗血性の排液を認め,腹痛は速やかに軽快...

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Published inNihon Fukubu Kyukyu Igakkai Zasshi (Journal of Abdominal Emergency Medicine) Vol. 35; no. 5; pp. 653 - 657
Main Authors 諸藤, 教彰, 松葉, 秀基, 渡邊, 学
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本腹部救急医学会 2015
Japanese Society for Abdominal Emergency Medicine
Subjects
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ISSN1340-2242
1882-4781
DOI10.11231/jaem.35.653

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Summary:縦隔内膵仮性囊胞は経過中に重篤な胸腔内合併症を発症することもある比較的まれな男性に多い疾患である。今回,女性の出血性縦隔内膵仮性囊胞に対し内視鏡的膵管ドレナージと外科的切除を行い治癒した1例を経験した。症例は51歳, 女性。慢性膵炎で当院通院中, 心窩部痛を主訴に当院救急外来を受診した。胸腹部CTで膵尾部から食道裂孔を経て気管背側に至る内部高吸収域を伴う囊胞性病変を認め,慢性膵炎急性増悪による出血性縦隔内膵仮性囊胞と診断した。全身状態は安定しており,内視鏡的逆行性膵管造影を行った。主膵管と囊胞との交通が確認されたため,内視鏡的経鼻膵管ドレナージを開始した。暗血性の排液を認め,腹痛は速やかに軽快し,仮性囊胞も縮小したが,再発を懸念し,膵体尾部切除術,囊胞開放・ドレナージ術を施行した。術後,門脈血栓症を発症したが保存的治療にて軽快し,術後25日目に退院した。術後2年現在も再燃なく経過観察中である。
ISSN:1340-2242
1882-4781
DOI:10.11231/jaem.35.653