腹部症候を伴わない上行結腸憩室炎から敗血症に至ったと考えられた1例

症例は62歳男性。意識障害を主訴に当院搬送された。来院時Glasgow coma scale10 (E3V3M4)の意識障害を認めるとともに,バイタルサインは体温40.8℃,心拍数140回/分,呼吸数30回/分であった。血液検査所見ではCRP 20.65mg/dL,PCT 25.46ng/mLと高値であり敗血症を呈していると考えられた。初診時あきらかな腹部症候を伴わなかった。精査目的で行った腹部CTで上行結腸に多発する憩室と周囲脂肪織濃度の上昇を認め憩室炎が疑われた。来院時に行った血液培養検査からはKlebsiella pneumoniaとBacillus spp.が検出された。入院後抗菌化学...

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Published inNihon Fukubu Kyukyu Igakkai Zasshi (Journal of Abdominal Emergency Medicine) Vol. 34; no. 4; pp. 885 - 888
Main Authors 神戸, 将彦, 田村, 遵一, 青木, 誠, 金子, 稔, 澤田, 悠輔, 大山, 良雄, 村田, 将人, 大嶋, 清宏, 萩原, 周一
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本腹部救急医学会 2014
Japanese Society for Abdominal Emergency Medicine
Subjects
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ISSN1340-2242
1882-4781
DOI10.11231/jaem.34.885

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Summary:症例は62歳男性。意識障害を主訴に当院搬送された。来院時Glasgow coma scale10 (E3V3M4)の意識障害を認めるとともに,バイタルサインは体温40.8℃,心拍数140回/分,呼吸数30回/分であった。血液検査所見ではCRP 20.65mg/dL,PCT 25.46ng/mLと高値であり敗血症を呈していると考えられた。初診時あきらかな腹部症候を伴わなかった。精査目的で行った腹部CTで上行結腸に多発する憩室と周囲脂肪織濃度の上昇を認め憩室炎が疑われた。来院時に行った血液培養検査からはKlebsiella pneumoniaとBacillus spp.が検出された。入院後抗菌化学療法を行い状態は改善し,第13病日退院とした。経過中腹部症候は皆無であった。腹部症候を呈さない憩室炎から敗血症に至る可能性があり,感染源不明の敗血症に遭遇した際には憩室炎を鑑別の一つに取り入れるべきである。
ISSN:1340-2242
1882-4781
DOI:10.11231/jaem.34.885