聴覚障害者における災害時・緊急時の情報伝達の課題と解決に向けた取り組み

【背景】災害時や緊急時のサイレンや速報、救急車両の近接などの一次入力や、救護および援助要請、避難所での情報授受においては聴覚や音声を通して提供されることが多くを占める。したがって聴覚障害者は情報の認識や避難において不利である。【目的・方法】我々は聴覚障害者223人を対象に、災害・緊急時の音認識や情報伝達の現状と課題把握を目的に、直面している問題と対策、情報保障機器の必要性、要望などについて調査を実施した。【結果】聴覚障害者の70%以上が情報の一次入力、授受ともに困難さや不安を抱えている一方で、情報支援機器の活用は35%と低く、リアルタイムの独力での情報入手・共有には課題がある。緊急通知音振動変...

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Published inJapanese Journal of Disaster Medicine Vol. 29; no. 2; pp. 124 - 130
Main Authors 野田, 夕月奈, 大守, 伊織, 片岡, 祐子, 牧, 尉太, 本多, 達也, 日吉, 顕太, 小林, 有美子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本災害医学会 20.07.2024
日本災害医学会
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ISSN2189-4035
2434-4214
DOI10.51028/jjdisatmed.29.2_124

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Summary:【背景】災害時や緊急時のサイレンや速報、救急車両の近接などの一次入力や、救護および援助要請、避難所での情報授受においては聴覚や音声を通して提供されることが多くを占める。したがって聴覚障害者は情報の認識や避難において不利である。【目的・方法】我々は聴覚障害者223人を対象に、災害・緊急時の音認識や情報伝達の現状と課題把握を目的に、直面している問題と対策、情報保障機器の必要性、要望などについて調査を実施した。【結果】聴覚障害者の70%以上が情報の一次入力、授受ともに困難さや不安を抱えている一方で、情報支援機器の活用は35%と低く、リアルタイムの独力での情報入手・共有には課題がある。緊急通知音振動変換、画像・動画での情報授受を行う機器の希望者は70%以上を占めた。【結論】災害・緊急時の共助、公助できる体制整備の拡充とともに、ICTを含む情報支援機器の活用により自助手段を確保することも望まれる。
ISSN:2189-4035
2434-4214
DOI:10.51028/jjdisatmed.29.2_124