幽門側胃切除と胃全摘の両術式に利用可能なクリニカルパス

前回われわれは,2種類の胃切除クリニカルパス:幽切パス(幽門側胃切除用,術後3日目の食事開始,同8-14日目の退院)と全摘パス(胃全摘用,同4日目の食事開始,同9-16日目の退院)の安全性について報告した.もし幽切パスが胃全摘術にも安全に使用可能ならば,胃全摘患者に早期の食事開始と退院を促すことができるうえ,2つの術式が幽切パス1つで運用できる利点も生まれる.そこで今回われわれは胃全摘患者167例に幽切パスを使用し,前回報告した全摘パス使用の胃全摘患者161例と比較してその安全性を検討した.結果は術後入院期間の中央値は幽切パスが13日で全摘パスの14日に比べて短縮していた.重症合併症は幽切パス...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 74; no. 9; pp. 2343 - 2348
Main Authors 藤谷, 恒明, 野崎, 功雄, 河村, 進, 後藤田, 直人, 若尾, 文彦, 藤田, 淳也, 福島, 紀雅, 栗田, 啓, 伊藤, 誠二, 大下, 裕夫
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2013
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.74.2343

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Summary:前回われわれは,2種類の胃切除クリニカルパス:幽切パス(幽門側胃切除用,術後3日目の食事開始,同8-14日目の退院)と全摘パス(胃全摘用,同4日目の食事開始,同9-16日目の退院)の安全性について報告した.もし幽切パスが胃全摘術にも安全に使用可能ならば,胃全摘患者に早期の食事開始と退院を促すことができるうえ,2つの術式が幽切パス1つで運用できる利点も生まれる.そこで今回われわれは胃全摘患者167例に幽切パスを使用し,前回報告した全摘パス使用の胃全摘患者161例と比較してその安全性を検討した.結果は術後入院期間の中央値は幽切パスが13日で全摘パスの14日に比べて短縮していた.重症合併症は幽切パスが4.2%で全摘パス使用時の6.8%と同等であった.以上より幽切パスは胃全摘術の周術期を比較的安全に管理できることが示され,幽切パスは幽門側胃切除と胃全摘の両術式に対して安全に使用可能と思われた.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.74.2343