慢性肝疾患のかゆみ診療に対する医療スタッフ介入の意義

患者教育が慢性肝疾患のかゆみについての患者認知に貢献するか,メディカルスタッフが介入できるスキンケアなどの生活指導がかゆみをどこまで軽減できるか,さらにこれらの介入で解決できないかゆみを持つ患者がどの程度存在するのかを明らかにすることを目的とした前向き介入検討を行った.合計238名の患者に記名式のアンケートを行い,かゆみの有無,かゆみがある場合はその強度をvisual analogue scaleで表記させた.アンケート事前での慢性肝疾患のかゆみについての簡単な説明は,医療従事者への相談についての心理的な抵抗を減らす可能性が示唆された.かゆみを訴える患者に対するスキンケアの指導により,指導を受...

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Published in肝臓 Vol. 61; no. 7; pp. 349 - 357
Main Authors 池上, 正, 坂本, かず美, 鈴木, 満由美
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本肝臓学会 01.07.2020
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ISSN0451-4203
1881-3593
DOI10.2957/kanzo.61.349

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Summary:患者教育が慢性肝疾患のかゆみについての患者認知に貢献するか,メディカルスタッフが介入できるスキンケアなどの生活指導がかゆみをどこまで軽減できるか,さらにこれらの介入で解決できないかゆみを持つ患者がどの程度存在するのかを明らかにすることを目的とした前向き介入検討を行った.合計238名の患者に記名式のアンケートを行い,かゆみの有無,かゆみがある場合はその強度をvisual analogue scaleで表記させた.アンケート事前での慢性肝疾患のかゆみについての簡単な説明は,医療従事者への相談についての心理的な抵抗を減らす可能性が示唆された.かゆみを訴える患者に対するスキンケアの指導により,指導を受けない患者に比べると有意にかゆみ強度は改善し,教育効果が示されたが,一方,改善せず薬物投与を考慮すべき患者の抽出に有効だった.慢性肝疾患についての知識を持ったメディカルスタッフによる介入は患者QOLの向上に大きな役割を果たすと考えられた.
ISSN:0451-4203
1881-3593
DOI:10.2957/kanzo.61.349