若年女性の多発長管骨骨折術後に意識障害を伴う脂肪塞栓症候群をきたした1例

【目的】交通外傷による多発骨折に脂肪塞栓症候群を合併した症例を報告する.【症例】20歳,女性.歩行中に自動車に衝突され受傷した.右大腿骨・脛骨骨幹部骨折,左下腿開放骨折を含む多発骨折を認めた.受傷後3時間で左下腿開放骨折に対して一時的創外固定を施行,翌日に右大腿骨・脛骨の骨接合術を施行した.第3病日の夜間から軽度意識障害を認め,翌朝には意思疎通困難となった.頭部MRI検査で両側散在性の脂肪塞栓を疑う所見を認め,その他の検査結果を含めて鶴田の臨床診断基準を基に,脂肪塞栓症候群と診断した.薬物治療を開始し,第8病日から意識障害は回復傾向となった.その後,全身状態の悪化なく転院した.【考察】脂肪塞栓...

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Published in整形外科と災害外科 Vol. 73; no. 3; pp. 611 - 615
Main Authors 金城, 健, 仲地, 耕, 我謝, 猛次, 山城, 貴之, 西田, 康太郎, 安水, 眞惟子, 杉浦, 由佳, 渡嘉敷, 卓也, 寺西, 裕器
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 西日本整形・災害外科学会 25.09.2024
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ISSN0037-1033
1349-4333
DOI10.5035/nishiseisai.73.611

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Summary:【目的】交通外傷による多発骨折に脂肪塞栓症候群を合併した症例を報告する.【症例】20歳,女性.歩行中に自動車に衝突され受傷した.右大腿骨・脛骨骨幹部骨折,左下腿開放骨折を含む多発骨折を認めた.受傷後3時間で左下腿開放骨折に対して一時的創外固定を施行,翌日に右大腿骨・脛骨の骨接合術を施行した.第3病日の夜間から軽度意識障害を認め,翌朝には意思疎通困難となった.頭部MRI検査で両側散在性の脂肪塞栓を疑う所見を認め,その他の検査結果を含めて鶴田の臨床診断基準を基に,脂肪塞栓症候群と診断した.薬物治療を開始し,第8病日から意識障害は回復傾向となった.その後,全身状態の悪化なく転院した.【考察】脂肪塞栓症候群は,長管骨骨折を伴った外傷や整形外科手術から24-48時間以内に発症することが多い.多発骨折患者でバイタルサインの変動や意識障害を認めた場合は脂肪塞栓症候群を疑うことが重要である.
ISSN:0037-1033
1349-4333
DOI:10.5035/nishiseisai.73.611