急性心筋虚血を併発し緊急手術を必要とした上行結腸癌によるOncologic Emergencyの1例

症例は78歳男性。上行結腸癌と診断され,術前精査を行っていた。就寝中に突然胸痛が出現し,救急外来を受診した。心電図でV1~V4のST上昇を認め,冠動脈造影検査を施行した。狭心症状を発症するような有意狭窄は認めなかった。主腫瘍からの下血により5日間で血中Hb値が10.0g/dLから7.7g/dLへ低下し,貧血により心筋虚血が誘発されたと判断した。濃厚赤血球輸血を行い,緊急手術の方針とした。腹部正中切開で開腹し,結腸切除術を行った。術後胸痛発作や心電図上でST変化は認めなかった。主腫瘍はpStageⅢbであった。術後7週間よりバイアスピリン内服をしながら術後補助化学療法を行った。Oncologic...

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Published inNihon Fukubu Kyukyu Igakkai Zasshi (Journal of Abdominal Emergency Medicine) Vol. 38; no. 1; pp. 143 - 147
Main Authors 市川, 稔, 足立, 真一, 山田, 晃正, 津田, 雄二郎, 池永, 雅一, 木島, 祥行, 太田, 勝也, 板倉, 弘明, 上田, 正射, 李, 京美, 中島, 慎介, 遠藤, 俊治
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本腹部救急医学会 31.01.2018
Japanese Society for Abdominal Emergency Medicine
Subjects
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ISSN1340-2242
1882-4781
DOI10.11231/jaem.38.143

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Summary:症例は78歳男性。上行結腸癌と診断され,術前精査を行っていた。就寝中に突然胸痛が出現し,救急外来を受診した。心電図でV1~V4のST上昇を認め,冠動脈造影検査を施行した。狭心症状を発症するような有意狭窄は認めなかった。主腫瘍からの下血により5日間で血中Hb値が10.0g/dLから7.7g/dLへ低下し,貧血により心筋虚血が誘発されたと判断した。濃厚赤血球輸血を行い,緊急手術の方針とした。腹部正中切開で開腹し,結腸切除術を行った。術後胸痛発作や心電図上でST変化は認めなかった。主腫瘍はpStageⅢbであった。術後7週間よりバイアスピリン内服をしながら術後補助化学療法を行った。Oncologic Emergencyは癌自体あるいは癌治療に関連した原因により生命危機が切迫し救急処置が必要とされる状態である。今回,腫瘍出血を契機に相対的心筋虚血を発症した上行結腸癌の1例を経験したので報告する。
ISSN:1340-2242
1882-4781
DOI:10.11231/jaem.38.143