点状軟骨異形成症に伴う環軸椎亜脱臼に対して手術した1例

【抄録】乳児の頸椎疾患に対しての手術は稀で本邦でも報告数は少ない.今回,点状軟骨異形成症の乳児に対して手術を施行した稀な症例を経験したので報告する.【症例】生後50日,女児.妊娠37週2日で出生.胎児期から鼻の低形成が疑われていた.出生時に第1啼泣なく陥没呼吸が強いため人工呼吸器にて管理された.画像所見にて点状石灰化や環軸椎亜脱臼による脊髄圧迫の所見の他,鼻根部低形成などの特徴的顔貌から点状軟骨異形成症が疑われた.手術目的に転院となり,環椎後弓切除術と大後頭孔減圧術を施行した.術後は四肢の麻痺や筋力低下なく経過し,術後の画像所見でも圧迫が解除されていた.【考察】点状軟骨異形成症の頸椎病変に対す...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in整形外科と災害外科 Vol. 70; no. 3; pp. 374 - 377
Main Authors 帖佐, 直紀, 濱中, 秀昭, 黒木, 修司, 永井, 琢哉, 李, 徳哲, 比嘉, 聖, 帖佐, 悦男, 黒木, 智文
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 西日本整形・災害外科学会 25.09.2021
Subjects
Online AccessGet full text
ISSN0037-1033
1349-4333
DOI10.5035/nishiseisai.70.374

Cover

More Information
Summary:【抄録】乳児の頸椎疾患に対しての手術は稀で本邦でも報告数は少ない.今回,点状軟骨異形成症の乳児に対して手術を施行した稀な症例を経験したので報告する.【症例】生後50日,女児.妊娠37週2日で出生.胎児期から鼻の低形成が疑われていた.出生時に第1啼泣なく陥没呼吸が強いため人工呼吸器にて管理された.画像所見にて点状石灰化や環軸椎亜脱臼による脊髄圧迫の所見の他,鼻根部低形成などの特徴的顔貌から点状軟骨異形成症が疑われた.手術目的に転院となり,環椎後弓切除術と大後頭孔減圧術を施行した.術後は四肢の麻痺や筋力低下なく経過し,術後の画像所見でも圧迫が解除されていた.【考察】点状軟骨異形成症の頸椎病変に対する治療の基準は確立されていない.本症例では生後50日と乳児のため環椎後弓切除術と大後頭孔減圧術のみとし,今後不安定性が残存する場合は固定も考慮される.児の年齢や罹患場所に応じた治療を選択する事が重要である.
ISSN:0037-1033
1349-4333
DOI:10.5035/nishiseisai.70.374