Blind loop syndromeに起因する腸管皮膚瘻の2例

症例1は48歳,男性.幼少時に腸重積,腸閉塞で2回と計3回の手術歴がある.47歳時に右下腹部の手術瘢痕に腸瘻を形成した.1年半の保存的加療でも治癒せず,手術の方針とした.開腹所見で小腸の側々吻合により形成され拡張したblind loopが皮膚との瘻孔を形成していた.Blind loopを切除し端々吻合を行い,術後は良好に経過した.症例2は65歳,女性.虫垂炎,子宮筋腫,腸閉塞と3回の手術歴がある.64歳時に正中の手術瘢痕に腸瘻を生じた.他院で手術を試みられたが,広範な癒着により試験開腹で手術を終えている.当院外来で保存的に加療するも治癒せず,発症から1年後に手術を施行.開腹所見,術式は症例1と...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 82; no. 11; pp. 1994 - 1998
Main Authors 佐々木, 妙子, 永末, 裕友, 横溝, 博
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2021
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.82.1994

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Summary:症例1は48歳,男性.幼少時に腸重積,腸閉塞で2回と計3回の手術歴がある.47歳時に右下腹部の手術瘢痕に腸瘻を形成した.1年半の保存的加療でも治癒せず,手術の方針とした.開腹所見で小腸の側々吻合により形成され拡張したblind loopが皮膚との瘻孔を形成していた.Blind loopを切除し端々吻合を行い,術後は良好に経過した.症例2は65歳,女性.虫垂炎,子宮筋腫,腸閉塞と3回の手術歴がある.64歳時に正中の手術瘢痕に腸瘻を生じた.他院で手術を試みられたが,広範な癒着により試験開腹で手術を終えている.当院外来で保存的に加療するも治癒せず,発症から1年後に手術を施行.開腹所見,術式は症例1と同様であった.腸閉塞の手術歴がある患者に腸管皮膚瘻を認めた場合には,blind loop syndromeを鑑別に挙げる必要があり,保存的加療では治癒困難のため早期の手術を行うことが望ましい.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.82.1994