腹腔鏡手術を行った19歳女性の卵巣滑脱ヘルニア嵌頓の1例
症例は19歳,女性.2年前に左鼠径部の腫脹と疼痛が出現したが自然軽快していた.今回,6日前より同様の症状が出現し疼痛が増強したため,当科を受診した.身体所見では左鼠径部に圧痛を伴う腫瘤を触知した.血液検査では炎症反応上昇を認めず,腹部US・CTで卵巣の鼠径ヘルニア嵌頓と診断した.徒手整復は困難で,緊急で腹腔鏡下手術を施行した.術中所見では左内鼠径輪に卵巣が嵌頓しており,内鼠径輪周囲の腹膜を切開して嵌頓を解除した.卵巣は正常卵巣でヘルニア嚢の一部を形成しており,卵巣滑脱ヘルニア(L1型)と診断した.滑脱しなくなるまで卵巣周囲を剥離し,腹膜切開部の修復と内鼠径輪の縫合閉鎖を行った.若年成人女性の卵...
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| Published in | 日本臨床外科学会雑誌 Vol. 82; no. 11; pp. 2084 - 2088 |
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| Main Authors | , , , , , |
| Format | Journal Article |
| Language | Japanese |
| Published |
日本臨床外科学会
2021
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| Subjects | |
| Online Access | Get full text |
| ISSN | 1345-2843 1882-5133 |
| DOI | 10.3919/jjsa.82.2084 |
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| Summary: | 症例は19歳,女性.2年前に左鼠径部の腫脹と疼痛が出現したが自然軽快していた.今回,6日前より同様の症状が出現し疼痛が増強したため,当科を受診した.身体所見では左鼠径部に圧痛を伴う腫瘤を触知した.血液検査では炎症反応上昇を認めず,腹部US・CTで卵巣の鼠径ヘルニア嵌頓と診断した.徒手整復は困難で,緊急で腹腔鏡下手術を施行した.術中所見では左内鼠径輪に卵巣が嵌頓しており,内鼠径輪周囲の腹膜を切開して嵌頓を解除した.卵巣は正常卵巣でヘルニア嚢の一部を形成しており,卵巣滑脱ヘルニア(L1型)と診断した.滑脱しなくなるまで卵巣周囲を剥離し,腹膜切開部の修復と内鼠径輪の縫合閉鎖を行った.若年成人女性の卵巣滑脱ヘルニアは稀であるが,腹腔鏡手術は正確な診断,整復,修復が可能であり,妊孕性の上でも有用な方法と考えられた. |
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| ISSN: | 1345-2843 1882-5133 |
| DOI: | 10.3919/jjsa.82.2084 |