急性大動脈解離を契機に発生した膵十二指腸動脈瘤の1例

症例:61歳,男性.急性大動脈解離(Stanford B型)で前医入院加療中,発症後14日目の経過観察のCTで,膵十二指腸動脈に動脈瘤を認め,周囲に血腫形成を認めたため,精査加療目的で当院に紹介.正中弓状靱帯症候群を認め,腹腔動脈起始部~上腸間膜動脈近傍には解離がみられたものの,上腸間膜動脈起始部には解離が及んでいなかった.緊急開腹手術の準備を行った上で,動脈塞栓術を行う方針とした.上腸間膜動脈からMicro catheterを挿入し,後上膵十二指腸動脈と後下膵十二指腸動脈をコイル塞栓した.出血や解離の増悪は認めなかった.術後一過性に上部消化管の蠕動低下を認めたものの,術後14日目に退院となっ...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 84; no. 9; pp. 1504 - 1508
Main Authors 三浦, 奈緒子, 貞森, 裕, 黒瀬, 洋平, 岩崎, 寿光, 石川, 亘, 高倉, 範尚
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2023
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.84.1504

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Summary:症例:61歳,男性.急性大動脈解離(Stanford B型)で前医入院加療中,発症後14日目の経過観察のCTで,膵十二指腸動脈に動脈瘤を認め,周囲に血腫形成を認めたため,精査加療目的で当院に紹介.正中弓状靱帯症候群を認め,腹腔動脈起始部~上腸間膜動脈近傍には解離がみられたものの,上腸間膜動脈起始部には解離が及んでいなかった.緊急開腹手術の準備を行った上で,動脈塞栓術を行う方針とした.上腸間膜動脈からMicro catheterを挿入し,後上膵十二指腸動脈と後下膵十二指腸動脈をコイル塞栓した.出血や解離の増悪は認めなかった.術後一過性に上部消化管の蠕動低下を認めたものの,術後14日目に退院となった.膵十二指腸動脈瘤破裂に関しては,動脈塞栓術やステント留置,開腹手術などが治療選択肢に挙げられるが,動脈塞栓術は低侵襲であり,治療成績が他の治療法に比べて比較的良好であると言われている.重篤な血管内病変を合併する本症例においても,複数科によるバックアップ体制を整えた状況での動脈塞栓術は有用であると思われた.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.84.1504