胸壁原発と考えられた扁平上皮癌の1例

症例は75歳,男性.健診の胸部X線にて異常陰影を指摘され,前医を受診し,肺癌が疑われたため当院へ紹介となった.造影胸部CT・PET/CTでは右肺上葉に胸壁に突出する20mm大の不均一に造影される腫瘤を認め,SUVmax 22.5の強い集積を示していた.原発性肺癌の胸壁浸潤を疑い,手術を施行した.術中針生検にて扁平上皮癌と確定診断後,肺癌の胸壁浸潤を強く疑ったため,右上葉切除+胸壁合併切除+肺門縦隔リンパ節郭清を行った.切除標本の病理検査所見では肉眼的に腫瘍は胸壁に限局し,肺実質に向かって圧排性の増殖を示すのみで肺実質内に癌病巣はなく,胸壁原発または転移性扁平上皮癌と診断された.術後,他部位に原...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 82; no. 9; pp. 1658 - 1662
Main Authors 高畑, 周吾, 藏井, 誠, 花岡, 孝臣, 本山, 博章
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2021
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.82.1658

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Summary:症例は75歳,男性.健診の胸部X線にて異常陰影を指摘され,前医を受診し,肺癌が疑われたため当院へ紹介となった.造影胸部CT・PET/CTでは右肺上葉に胸壁に突出する20mm大の不均一に造影される腫瘤を認め,SUVmax 22.5の強い集積を示していた.原発性肺癌の胸壁浸潤を疑い,手術を施行した.術中針生検にて扁平上皮癌と確定診断後,肺癌の胸壁浸潤を強く疑ったため,右上葉切除+胸壁合併切除+肺門縦隔リンパ節郭清を行った.切除標本の病理検査所見では肉眼的に腫瘍は胸壁に限局し,肺実質に向かって圧排性の増殖を示すのみで肺実質内に癌病巣はなく,胸壁原発または転移性扁平上皮癌と診断された.術後,他部位に原発巣を疑う病変は認めず,胸壁原発と考えられた.胸壁原発の扁平上皮癌は稀であり,文献的考察を加えて報告する.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.82.1658