リンパ行性転移と考えられる前立腺癌直腸転移の1例
症例は53歳の男性で,便秘,腰背部痛を主訴に当院を受診した.下部消化管内視鏡検査で下部直腸に全周性の病変を認めた.同部位の生検組織から低分化腺癌が確認された.また,血清PSA値が高値であり,前立腺生検を施行したところGleason score 9点で,前立腺癌の診断となった.CT,PET-CTより硬化性の転移性骨腫瘍の所見は認めたが,前立腺と直腸の間は比較的明瞭であり,前立腺癌骨転移と原発性直腸癌の併存と診断した.原発性直腸癌に対して腹腔鏡下Hartmann手術を施行した.病理組織検査では上皮性の異型は乏しく,粘膜下から漿膜側を主体に低分化腺癌の浸潤増殖を認め,リンパ管内にも腫瘍細胞の充満を認...
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Published in | 日本臨床外科学会雑誌 Vol. 82; no. 6; pp. 1172 - 1179 |
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Main Authors | , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本臨床外科学会
2021
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Subjects | |
Online Access | Get full text |
ISSN | 1345-2843 1882-5133 |
DOI | 10.3919/jjsa.82.1172 |
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Summary: | 症例は53歳の男性で,便秘,腰背部痛を主訴に当院を受診した.下部消化管内視鏡検査で下部直腸に全周性の病変を認めた.同部位の生検組織から低分化腺癌が確認された.また,血清PSA値が高値であり,前立腺生検を施行したところGleason score 9点で,前立腺癌の診断となった.CT,PET-CTより硬化性の転移性骨腫瘍の所見は認めたが,前立腺と直腸の間は比較的明瞭であり,前立腺癌骨転移と原発性直腸癌の併存と診断した.原発性直腸癌に対して腹腔鏡下Hartmann手術を施行した.病理組織検査では上皮性の異型は乏しく,粘膜下から漿膜側を主体に低分化腺癌の浸潤増殖を認め,リンパ管内にも腫瘍細胞の充満を認めた.腫瘍細胞はPSA染色,NKX3.1染色で陽性であった.以上からリンパ行性による前立腺癌直腸転移と診断した. |
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ISSN: | 1345-2843 1882-5133 |
DOI: | 10.3919/jjsa.82.1172 |