胸腔ドレナージ後に発症し外科治療を行った胸囲結核の2例

結核性胸膜炎に対する胸腔ドレナージ後にドレーン挿入部に発症した胸囲結核に対し,全身麻酔下に胸壁膿瘍切除と筋肉充填術を施行し良好に経過した2症例を経験した.症例1は83歳,男性.呼吸困難を主訴に受診.右胸水と右肺上葉多発粒状影を認め,右胸腔ドレナージを施行した.喀痰のTB-PCR陽性で抗結核薬治療を開始した.3カ月後より胸腔ドレーン抜去部から排膿を認め,軽快しないため胸壁膿瘍切除と前鋸筋充填術を施行した.症例2は65歳,男性.呼吸困難を主訴に受診.左胸水と左胸壁膿瘍および右肺上葉に陰影を認めた.左胸腔ドレナージと左胸壁膿瘍の穿刺を施行し,胸壁膿瘍内容のTB-PCR陽性で抗結核薬治療を開始した.2...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 82; no. 6; pp. 1089 - 1097
Main Authors 北村, 将司, 鈴村, 雄治
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2021
Subjects
Online AccessGet full text
ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.82.1089

Cover

More Information
Summary:結核性胸膜炎に対する胸腔ドレナージ後にドレーン挿入部に発症した胸囲結核に対し,全身麻酔下に胸壁膿瘍切除と筋肉充填術を施行し良好に経過した2症例を経験した.症例1は83歳,男性.呼吸困難を主訴に受診.右胸水と右肺上葉多発粒状影を認め,右胸腔ドレナージを施行した.喀痰のTB-PCR陽性で抗結核薬治療を開始した.3カ月後より胸腔ドレーン抜去部から排膿を認め,軽快しないため胸壁膿瘍切除と前鋸筋充填術を施行した.症例2は65歳,男性.呼吸困難を主訴に受診.左胸水と左胸壁膿瘍および右肺上葉に陰影を認めた.左胸腔ドレナージと左胸壁膿瘍の穿刺を施行し,胸壁膿瘍内容のTB-PCR陽性で抗結核薬治療を開始した.2カ月後より胸腔ドレーン抜去部から排膿を認め,軽快しないため胸壁膿瘍切除と広背筋充填術を施行した.内服治療中に発症した皮膚瘻を伴う胸囲結核に対しては,外科治療は考慮されるべき治療法の一つと考えられた.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.82.1089