膿瘍化した巨大Meckel憩室炎に対する腹腔鏡手術の1例

症例は50歳台男性。心窩部痛,嘔吐を主訴に当院を受診し小腸穿孔,腹腔内膿瘍の疑いで外科紹介となった。腹部造影CT検査では左上腹部に約10cm大の被膜を伴った内部不均一な膿瘍があり,小腸との連続性を認めたため,小腸穿孔による腹腔内膿瘍および限局性腹膜炎の診断で緊急手術を施行した。腹腔鏡下に観察すると,バウヒン弁から約60cm口側の回腸腸間膜対側に被膜で覆われた径10cm大の腫瘤を認めた。切除可能と判断し体腔外で腫瘍を含めた回腸部分切除術を施行した。病理組織学所見では腫瘤の内腔壁は腸管構造を保つ真性憩室であり,また急性炎症による憩室炎の所見を認め,Meckel憩室炎による膿瘍形成と診断された。膿瘍...

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Published in日本腹部救急医学会雑誌 Vol. 42; no. 5; pp. 623 - 625
Main Authors 内藤, 剛, 内藤, 正規, 萩原, 千恵, 中村, 隆俊, 箕浦, 宏之
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本腹部救急医学会 31.07.2022
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ISSN1340-2242
1882-4781
DOI10.11231/jaem.42.623

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Summary:症例は50歳台男性。心窩部痛,嘔吐を主訴に当院を受診し小腸穿孔,腹腔内膿瘍の疑いで外科紹介となった。腹部造影CT検査では左上腹部に約10cm大の被膜を伴った内部不均一な膿瘍があり,小腸との連続性を認めたため,小腸穿孔による腹腔内膿瘍および限局性腹膜炎の診断で緊急手術を施行した。腹腔鏡下に観察すると,バウヒン弁から約60cm口側の回腸腸間膜対側に被膜で覆われた径10cm大の腫瘤を認めた。切除可能と判断し体腔外で腫瘍を含めた回腸部分切除術を施行した。病理組織学所見では腫瘤の内腔壁は腸管構造を保つ真性憩室であり,また急性炎症による憩室炎の所見を認め,Meckel憩室炎による膿瘍形成と診断された。膿瘍形成の原因としては,可逆性の茎捻転を繰り返したことが示唆された。術後経過は良好で,術後第8病日に退院となった。巨大Meckel憩室の憩室炎による膿瘍化はまれであり,文献的考察を加えて報告する。
ISSN:1340-2242
1882-4781
DOI:10.11231/jaem.42.623