直腸肛門周囲膿瘍・腸閉塞を契機とし,術前化学放射線療法後に治癒切除した痔瘻癌の1例
直腸肛門周囲膿瘍・腸閉塞を契機とし,術前化学放射線療法(neoadjuvant chemoradiotherapy:以下,NACRT)後に治癒切除した痔瘻癌を経験したので報告する。症例は61歳,男性。36年前に交通事故による脊髄損傷で対麻痺,膀胱直腸障害となり,以後摘便で排便していた。2年前に痔瘻を指摘された。1ヵ月前に嘔吐,下痢で前医に救急搬送された。CTでは直腸肛門周囲膿瘍とそれに伴う腸閉塞を認めた。膿瘍壁からmucinous adenocarcinomaが検出され,痔瘻癌の診断となった。手術先行での治癒切除は困難と考え,NACRTの方針とした。NACRT 10週後に骨盤内臓全摘術を行った...
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| Published in | 日本腹部救急医学会雑誌 Vol. 42; no. 7; pp. 785 - 787 |
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| Main Authors | , , , , , , , |
| Format | Journal Article |
| Language | Japanese |
| Published |
日本腹部救急医学会
30.11.2022
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| Subjects | |
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| ISSN | 1340-2242 1882-4781 |
| DOI | 10.11231/jaem.42.785 |
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| Summary: | 直腸肛門周囲膿瘍・腸閉塞を契機とし,術前化学放射線療法(neoadjuvant chemoradiotherapy:以下,NACRT)後に治癒切除した痔瘻癌を経験したので報告する。症例は61歳,男性。36年前に交通事故による脊髄損傷で対麻痺,膀胱直腸障害となり,以後摘便で排便していた。2年前に痔瘻を指摘された。1ヵ月前に嘔吐,下痢で前医に救急搬送された。CTでは直腸肛門周囲膿瘍とそれに伴う腸閉塞を認めた。膿瘍壁からmucinous adenocarcinomaが検出され,痔瘻癌の診断となった。手術先行での治癒切除は困難と考え,NACRTの方針とした。NACRT 10週後に骨盤内臓全摘術を行った。病理で尾骨に腫瘍浸潤を認めたが,切除断端は陰性だった。膿瘍を伴う痔瘻癌に対するNACRTは,腫瘍縮小と炎症の鎮静化という点で治癒切除に有効であると考えられた。 |
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| ISSN: | 1340-2242 1882-4781 |
| DOI: | 10.11231/jaem.42.785 |