粘膜下腫瘍様形態を呈した胃腺癌と神経内分泌癌の衝突癌の1例

症例は74歳,女性.5年前に指摘された胃粘膜下腫瘍の緩徐な増大を認め,近医より精査目的に当院を受診した.上部消化管内視鏡検査にて,幽門前庭部大彎に腫瘍頂部に浅い潰瘍を伴う径20mm大の粘膜下腫瘍様病変を認め,生検で胃腺癌と診断された.超音波内視鏡検査にて第3層に病変の主座がある粘膜下層癌と診断した.リンパ節転移や遠隔転移を認めず,cT1b,cN0,cM0,cStage Iの診断にて,腹腔鏡下幽門側胃切除術を行った.病理組織学的検査所見にて,異型細胞の約80%に腺癌成分と,約20%に神経内分泌癌成分を認め,腺癌と神経内分泌癌の衝突癌と診断され,pT1b2,pN0であった.術後16カ月現在,再発な...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 83; no. 2; pp. 331 - 335
Main Authors 大宜見, 美香, 田島, 康平, 小柳, 和夫, 原, 仁司, 鍋島, 一仁, 中村, 健司, 近藤, 裕介, 平林, 健一
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2022
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.83.331

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Summary:症例は74歳,女性.5年前に指摘された胃粘膜下腫瘍の緩徐な増大を認め,近医より精査目的に当院を受診した.上部消化管内視鏡検査にて,幽門前庭部大彎に腫瘍頂部に浅い潰瘍を伴う径20mm大の粘膜下腫瘍様病変を認め,生検で胃腺癌と診断された.超音波内視鏡検査にて第3層に病変の主座がある粘膜下層癌と診断した.リンパ節転移や遠隔転移を認めず,cT1b,cN0,cM0,cStage Iの診断にて,腹腔鏡下幽門側胃切除術を行った.病理組織学的検査所見にて,異型細胞の約80%に腺癌成分と,約20%に神経内分泌癌成分を認め,腺癌と神経内分泌癌の衝突癌と診断され,pT1b2,pN0であった.術後16カ月現在,再発なく生存中である.本症例は,胃粘膜下腫瘍様の形態を呈する衝突癌として本邦初の報告例となる.胃粘膜下腫瘍様胃癌では,衝突癌の存在も念頭に置いて慎重に診断・治療を行う必要がある.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.83.331