芽球性形質細胞様樹状細胞腫瘍の皮膚病変に対して放射線療法が有効であった1例

76歳,男性.喉頭癌,直腸癌,関節リウマチの既往あり.受診2週間前より左側腹部に紅色腫瘤が出現し,当科へ紹介となった.左側腹部に長径5センチの浸潤を伴う紅斑,同部には長径2センチの半球状の紅色腫瘤があった.生検組織は,真皮全層にわたり,大型で核小体の明瞭な異型細胞が増殖していた.免疫染色にてCD4,CD56,CD123,TCL1が陽性で,芽球性形質細胞様樹状細胞腫瘍と診断した.CHOP療法を施行し,当初は皮膚病変に有効であったが,徐々に治療抵抗性となり,体幹四肢に紅色腫瘤,浸潤を伴う紅斑が多数出現した.皮膚病変に対して,放射線療法を施行し,局所コントロールに有効であった.本疾患は非常に稀である...

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Published in日本臨床皮膚科医会雑誌 Vol. 39; no. 4; pp. 562 - 566
Main Authors 影治, 里穂, 竹内, 賢吾, 山下, 理子, 原, 朋子, 飛田, 泰斗史, 坂本, 佳奈
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床皮膚科医会 2022
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ISSN1349-7758
1882-272X
DOI10.3812/jocd.39.562

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Summary:76歳,男性.喉頭癌,直腸癌,関節リウマチの既往あり.受診2週間前より左側腹部に紅色腫瘤が出現し,当科へ紹介となった.左側腹部に長径5センチの浸潤を伴う紅斑,同部には長径2センチの半球状の紅色腫瘤があった.生検組織は,真皮全層にわたり,大型で核小体の明瞭な異型細胞が増殖していた.免疫染色にてCD4,CD56,CD123,TCL1が陽性で,芽球性形質細胞様樹状細胞腫瘍と診断した.CHOP療法を施行し,当初は皮膚病変に有効であったが,徐々に治療抵抗性となり,体幹四肢に紅色腫瘤,浸潤を伴う紅斑が多数出現した.皮膚病変に対して,放射線療法を施行し,局所コントロールに有効であった.本疾患は非常に稀であるが,高率で白血病化をする致死的疾患である.ほとんどの症例は,皮膚病変から発症しているため,皮膚科医も認知する必要がある.本例のように一般的に,芽球性形質細胞様樹状細胞腫瘍に対する放射線療法は,予後の延長には寄与しないものの,皮膚病変に対する局所コントロールには有効である.
ISSN:1349-7758
1882-272X
DOI:10.3812/jocd.39.562