BCG膀胱内注入治療中に発症した腹腔内遊離ガスを伴った膀胱破裂の1例

症例は75歳,男性。膀胱癌に対して経尿道的膀胱腫瘍切除術を行い,再発予防としてBCG膀胱内注射療法を来院5日前に外来で行っていた。突然に発症した腹痛を主訴に当院へ救急搬送された。腹部造影CT検査で腹腔内遊離ガス像を認めたことから,消化管穿孔の疑いで緊急手術を施行した。腹腔鏡下で腹腔内を観察したが,明らかな消化管の穿孔部位を認めなかった。開腹へ移行して検索すると膀胱に約20mm大の発赤を伴う穿孔部を認め,膀胱破裂と診断した。穿孔部を単純縫合閉鎖し,洗浄ドレナージ術を行った。術後経過は良好で第9病日に退院となった。今回われわれは,BCG膀胱内注射療法中に腹腔内遊離ガスを伴う膀胱破裂の1例を経験した...

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Published in日本腹部救急医学会雑誌 Vol. 42; no. 7; pp. 781 - 784
Main Authors 三島, 圭介, 吉田, 寛, 谷合, 信彦, 松谷, 毅, 山際, 亮, 濵口, 暁
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本腹部救急医学会 30.11.2022
Subjects
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ISSN1340-2242
1882-4781
DOI10.11231/jaem.42.781

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Summary:症例は75歳,男性。膀胱癌に対して経尿道的膀胱腫瘍切除術を行い,再発予防としてBCG膀胱内注射療法を来院5日前に外来で行っていた。突然に発症した腹痛を主訴に当院へ救急搬送された。腹部造影CT検査で腹腔内遊離ガス像を認めたことから,消化管穿孔の疑いで緊急手術を施行した。腹腔鏡下で腹腔内を観察したが,明らかな消化管の穿孔部位を認めなかった。開腹へ移行して検索すると膀胱に約20mm大の発赤を伴う穿孔部を認め,膀胱破裂と診断した。穿孔部を単純縫合閉鎖し,洗浄ドレナージ術を行った。術後経過は良好で第9病日に退院となった。今回われわれは,BCG膀胱内注射療法中に腹腔内遊離ガスを伴う膀胱破裂の1例を経験したので文献的考察を含めて報告する。
ISSN:1340-2242
1882-4781
DOI:10.11231/jaem.42.781