人獣共通感染症と関連野生動物の“今”について考える

「1. なぜいま人獣共通感染症をとりあげるのか」感染症全体の60%程度, そのうちの新興感染症の約75%は, 人獣共通感染症と考えられている. 人に感染する感染症の中で, 最近発生し感染拡大が起こっている, または近く拡大すると予想されているものを新興感染症と呼ぶが, この発生は1940年代以降1980年代にかけて大きく増加した. 新興感染症に占める人獣共通感染症の割合はそうでないものに比べて明らかに高いことから, 新興の人獣共通感染症発生が増加してきたと考えられる. 人から人へと感染がおこる感染症では人口密度の高い地域が海洋等で分断化されていれば, 地域間の感染拡大は起こりにくいはずである....

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Published inMedical Entomology and Zoology Vol. 71; no. 3; pp. 157 - 160
Main Authors 飯島, 勇人, 古川, 拓哉, 亘, 悠哉, 岡部, 貴美子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本衛生動物学会 25.09.2020
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ISSN0424-7086
2185-5609
DOI10.7601/mez.71.157

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Summary:「1. なぜいま人獣共通感染症をとりあげるのか」感染症全体の60%程度, そのうちの新興感染症の約75%は, 人獣共通感染症と考えられている. 人に感染する感染症の中で, 最近発生し感染拡大が起こっている, または近く拡大すると予想されているものを新興感染症と呼ぶが, この発生は1940年代以降1980年代にかけて大きく増加した. 新興感染症に占める人獣共通感染症の割合はそうでないものに比べて明らかに高いことから, 新興の人獣共通感染症発生が増加してきたと考えられる. 人から人へと感染がおこる感染症では人口密度の高い地域が海洋等で分断化されていれば, 地域間の感染拡大は起こりにくいはずである. しかし今日, 移動, 輸送手段の発達によって, 感染者も病原体そのものも遠方への移動が可能になり, 感染症がグローバルな拡大を示すことも稀ではなくなってきた.
ISSN:0424-7086
2185-5609
DOI:10.7601/mez.71.157