いびつな形状のIgG4関連胸部大動脈瘤の1例
IgG4関連疾患は血清IgG4高値と病変組織の顕著なIgG4陽性形質細胞の浸潤,線維増生を主体とする全身性疾患群で,心血管病変では腎動脈下腹部大動脈や腸骨動脈周囲炎が多く胸部大動脈瘤の報告は少ない.今回,いびつな形状のIgG4関連胸部大動脈瘤の症例を経験した.症例は69歳男性,臀部膿皮症の術前検査で,多数の突出性病変を有するいびつな形状の上行弓部大動脈瘤を認め,血清IgG4は207 mg/dLと高値であった.手術では大動脈瘤壁を切除し,遠位側吻合部補強のため下行大動脈にオープンステントグラフトを留置後,上行弓部大動脈を人工血管で置換した.大動脈瘤壁にIgG4陽性形質細胞浸潤を認め,画像,血液検...
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          | Published in | 日本血管外科学会雑誌 Vol. 31; no. 2; pp. 61 - 65 | 
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| Main Authors | , , , , | 
| Format | Journal Article | 
| Language | Japanese | 
| Published | 
            特定非営利活動法人 日本血管外科学会
    
        19.04.2022
     日本血管外科学会  | 
| Subjects | |
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| ISSN | 0918-6778 1881-767X  | 
| DOI | 10.11401/jsvs.22-00009 | 
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| Summary: | IgG4関連疾患は血清IgG4高値と病変組織の顕著なIgG4陽性形質細胞の浸潤,線維増生を主体とする全身性疾患群で,心血管病変では腎動脈下腹部大動脈や腸骨動脈周囲炎が多く胸部大動脈瘤の報告は少ない.今回,いびつな形状のIgG4関連胸部大動脈瘤の症例を経験した.症例は69歳男性,臀部膿皮症の術前検査で,多数の突出性病変を有するいびつな形状の上行弓部大動脈瘤を認め,血清IgG4は207 mg/dLと高値であった.手術では大動脈瘤壁を切除し,遠位側吻合部補強のため下行大動脈にオープンステントグラフトを留置後,上行弓部大動脈を人工血管で置換した.大動脈瘤壁にIgG4陽性形質細胞浸潤を認め,画像,血液検査と併せIgG4関連胸部大動脈瘤と診断した.血管壁脆弱化による動脈拡大,術後感染症の危険性を考慮し,術後のステロイド治療は行わなかった.今後,疾患の再燃や吻合部仮性瘤に対し長期的な経過観察が必要である. | 
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| ISSN: | 0918-6778 1881-767X  | 
| DOI: | 10.11401/jsvs.22-00009 |