原発性胃滑膜肉腫の1例

症例は68歳,女性.2018年5月,健康診断で上部消化管内視鏡検査を施行し,胃体上部に中心陥凹を伴う胃粘膜下腫瘍を認め,精査目的で当院へ紹介となった.内視鏡下生検の結果,滑膜肉腫と診断し,PET-CTで胃以外に異常集積を認めず,胃原発性と判断した.腹腔鏡下胃部分切除の方針とし,術中内視鏡にて病変を同定したのち2cmのマージンをもって胃部分切除,近傍リンパ節サンプリングを施行した.病変は粘膜下層を主体とする長径9mmの境界不明瞭な腫瘍で,紡錘形腫瘍細胞の束状増生を認めた.腫瘍細胞は免疫組織検査にてcytokeratin,EMA,bcl-2陽性であり,またSS18プローブを用いたFISH法により分...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 83; no. 2; pp. 320 - 325
Main Authors 新宮, 優二, 坂本, 英至, 大岩, 孝, 前田, 永子, 小林, 達矢, 法水, 信治
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2022
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.83.320

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Summary:症例は68歳,女性.2018年5月,健康診断で上部消化管内視鏡検査を施行し,胃体上部に中心陥凹を伴う胃粘膜下腫瘍を認め,精査目的で当院へ紹介となった.内視鏡下生検の結果,滑膜肉腫と診断し,PET-CTで胃以外に異常集積を認めず,胃原発性と判断した.腹腔鏡下胃部分切除の方針とし,術中内視鏡にて病変を同定したのち2cmのマージンをもって胃部分切除,近傍リンパ節サンプリングを施行した.病変は粘膜下層を主体とする長径9mmの境界不明瞭な腫瘍で,紡錘形腫瘍細胞の束状増生を認めた.腫瘍細胞は免疫組織検査にてcytokeratin,EMA,bcl-2陽性であり,またSS18プローブを用いたFISH法により分離シグナルを認めた.他に病変を認めず,胃原発滑膜肉腫と診断した.現在術後2年半,無再発で経過している.胃原発の滑膜肉腫は非常にまれであり,文献的考察を加え報告する.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.83.320