電解質異常をきたした眼部帯状疱疹の2症例

電解質異常は重篤な合併症をきたす可能性があり,速やかな原因検索と治療を必要とする.今回,眼部帯状疱疹に伴う電解質異常をきたした症例を経験したので報告する.症例1は75歳の女性.左眼部帯状疱疹を発症し当科受診した.血清ナトリウム低値(119 mEq/ℓ),血清カリウム低値(2.6 mEq/ℓ),血清浸透圧の低下と尿中ナトリウム排泄の上昇がみられ,抗利尿ホルモン不適合分泌症候群(SIADH)および低カリウム血症と診断した.水分制限と電解質補充で改善した.症例2は74歳の男性.右眼部帯状疱疹を発症し当科受診した.血清ナトリウム低値(127 mEq/ℓ),血清浸透圧の低下と尿中ナトリウム排泄の上昇がみ...

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Published in日本ペインクリニック学会誌 Vol. 25; no. 4; pp. 278 - 282
Main Authors 前田, 愛子, 外, 須美夫, 塩川, 浩輝
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本ペインクリニック学会 25.10.2018
日本ペインクリニック学会
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ISSN1340-4903
1884-1791
DOI10.11321/jjspc.18-0004

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Summary:電解質異常は重篤な合併症をきたす可能性があり,速やかな原因検索と治療を必要とする.今回,眼部帯状疱疹に伴う電解質異常をきたした症例を経験したので報告する.症例1は75歳の女性.左眼部帯状疱疹を発症し当科受診した.血清ナトリウム低値(119 mEq/ℓ),血清カリウム低値(2.6 mEq/ℓ),血清浸透圧の低下と尿中ナトリウム排泄の上昇がみられ,抗利尿ホルモン不適合分泌症候群(SIADH)および低カリウム血症と診断した.水分制限と電解質補充で改善した.症例2は74歳の男性.右眼部帯状疱疹を発症し当科受診した.血清ナトリウム低値(127 mEq/ℓ),血清浸透圧の低下と尿中ナトリウム排泄の上昇がみられSIADHと診断した.水分制限のみで改善した.両症例ともに浮腫や脱水,中枢神経疾患や肺疾患はなく,診断基準を満たすことから低ナトリウム血症の原因はSIADHと診断した.過去の文献では帯状疱疹関連SIADHは三叉神経領域の報告が多い.また,低カリウム血症は低ナトリウム血症に一定の割合で伴うと報告されている.まれな合併症であるが,帯状疱疹治療中は電解質異常をきたす可能性を念頭におく必要がある.
ISSN:1340-4903
1884-1791
DOI:10.11321/jjspc.18-0004