虫垂癌との鑑別が困難であった黄色肉芽腫性虫垂炎の1 例

症例は71 歳女性。右下腹部痛を主訴に来院した。右下腹部に圧痛を伴う腫瘤が触知され,血液検査では軽度の炎症反応を認めた。造影CT 検査では,虫垂の造影効果を伴う壁肥厚と播種を疑う結節影,所属リンパ転移を疑うリンパ節腫大を認めた。大腸内視鏡検査を施行したが,盲腸の壁外圧排像を認めるのみで虫垂入口部は確認できなかった。以上より虫垂癌と診断し外科的切除の方針となった。術中所見では,虫垂の後腹膜浸潤を疑う所見を認めたため,D3 郭清を伴う回盲部切除術に加え,一部後腹膜合併切除を施行しen-bloc に病巣を切除した。切除標本の病理検査では虫垂の漿膜下に黄色肉芽腫の形成を認め黄色肉芽腫性虫垂炎の診断とな...

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Published in日本腹部救急医学会雑誌 Vol. 42; no. 3; pp. 451 - 454
Main Authors 平方, 敦史, 茂内, 康友, 岩下, 幸平
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本腹部救急医学会 31.03.2022
Subjects
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ISSN1340-2242
1882-4781
DOI10.11231/jaem.42.451

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Summary:症例は71 歳女性。右下腹部痛を主訴に来院した。右下腹部に圧痛を伴う腫瘤が触知され,血液検査では軽度の炎症反応を認めた。造影CT 検査では,虫垂の造影効果を伴う壁肥厚と播種を疑う結節影,所属リンパ転移を疑うリンパ節腫大を認めた。大腸内視鏡検査を施行したが,盲腸の壁外圧排像を認めるのみで虫垂入口部は確認できなかった。以上より虫垂癌と診断し外科的切除の方針となった。術中所見では,虫垂の後腹膜浸潤を疑う所見を認めたため,D3 郭清を伴う回盲部切除術に加え,一部後腹膜合併切除を施行しen-bloc に病巣を切除した。切除標本の病理検査では虫垂の漿膜下に黄色肉芽腫の形成を認め黄色肉芽腫性虫垂炎の診断となった。黄色肉芽腫性虫垂炎は極めてまれな疾患であるが,虫垂悪性腫瘍を疑う画像所見であった場合は,本疾患の可能性も考慮する必要がある。
ISSN:1340-2242
1882-4781
DOI:10.11231/jaem.42.451