慢性疼痛における温泉療法の豊かな可能性 第80回日本温泉気候物理医学会総会温泉療法医会講演

「I はじめに : 温泉療法の歴史」温泉療法(湯治)は, 人間の智慧である. 古代から, 温泉は, 湯治・療養の場として用いられてきた. 歴史を繙くと, 中世では仏教の伝来とともに湯治は広まり, 入浴は福を呼ぶと考えられ, 寺僧が温泉を開発し, 温泉信仰が始まった. 薬師如来は温泉の神様である. 温泉は, 湯治の場, 療養の場, 信仰の場として発展した. 近世(江戸時代)に入ると, 参勤交代で, 開湯伝説が広まり, 湯治場, 行楽温泉が登場した. 貝原益軒の「益軒養生訓」や宇田川榕庵の文献には湯治が出てくる. 明治時代には, 湯治は民間療法としての扱いを受けたが, ベルツにより草津温泉の科学的...

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Published in日本温泉気候物理医学会雑誌 Vol. 78; no. 4; pp. 333 - 340
Main Author 永田, 勝太郎
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本温泉気候物理医学会 27.10.2015
日本温泉気候物理医学会
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ISSN0029-0343
1884-3697
DOI10.11390/onki.78.333

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Summary:「I はじめに : 温泉療法の歴史」温泉療法(湯治)は, 人間の智慧である. 古代から, 温泉は, 湯治・療養の場として用いられてきた. 歴史を繙くと, 中世では仏教の伝来とともに湯治は広まり, 入浴は福を呼ぶと考えられ, 寺僧が温泉を開発し, 温泉信仰が始まった. 薬師如来は温泉の神様である. 温泉は, 湯治の場, 療養の場, 信仰の場として発展した. 近世(江戸時代)に入ると, 参勤交代で, 開湯伝説が広まり, 湯治場, 行楽温泉が登場した. 貝原益軒の「益軒養生訓」や宇田川榕庵の文献には湯治が出てくる. 明治時代には, 湯治は民間療法としての扱いを受けたが, ベルツにより草津温泉の科学的評価が行われたり, 行楽温泉が増加したりした. 大正14年には別府に九大, 三朝に岡山大病院が誕生した. 今日, 温泉療法は, 再認識されてきている. 国立6大学に温泉病院ができたが, 減少傾向にあるのは残念なことである.
ISSN:0029-0343
1884-3697
DOI:10.11390/onki.78.333