冠動脈起始異常を合併した大動脈弁輪拡張症に対して自己弁温存基部置換術を行った症例

冠動脈起始異常を伴った大動脈弁輪拡張症に対する自己弁温存基部置換術(David手術)の報告は稀である.症例は45歳,男性.人間ドックの胸部レントゲン検査で異常を指摘され,精査により大動脈基部の拡大と大動脈弁の逆流が認められた.術前検査として行った冠動脈CTにて,右冠動脈が左冠洞より起始し,大動脈と肺動脈の間を走行していることが確認された.比較的若年であり,大動脈弁尖の形態が維持されていることから,術式は自己弁温存基部置換術を選択した.右冠動脈の入口部が左冠動脈のそれに極めて近く,ほぼ単冠動脈と言ってよい状態であった.左冠動脈の入口部はかろうじてボタン状に形成したが,右冠動脈は十分に剝離した上で...

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Published in日本血管外科学会雑誌 Vol. 28; no. 2; pp. 141 - 144
Main Authors 岡田, 祥一, 奥山, 浩, 平沼, 進, 九澤, 豊
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本血管外科学会 12.04.2019
日本血管外科学会
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ISSN0918-6778
1881-767X
DOI10.11401/jsvs.19-00014

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Summary:冠動脈起始異常を伴った大動脈弁輪拡張症に対する自己弁温存基部置換術(David手術)の報告は稀である.症例は45歳,男性.人間ドックの胸部レントゲン検査で異常を指摘され,精査により大動脈基部の拡大と大動脈弁の逆流が認められた.術前検査として行った冠動脈CTにて,右冠動脈が左冠洞より起始し,大動脈と肺動脈の間を走行していることが確認された.比較的若年であり,大動脈弁尖の形態が維持されていることから,術式は自己弁温存基部置換術を選択した.右冠動脈の入口部が左冠動脈のそれに極めて近く,ほぼ単冠動脈と言ってよい状態であった.左冠動脈の入口部はかろうじてボタン状に形成したが,右冠動脈は十分に剝離した上で,直接人工血管に吻合した.吻合部位の決定に際しては,一旦遮断解除を行い,人工血管を十分に張らせた上で行うなど慎重を期した.こうした冠動脈の再建を行う上で,術前の冠動脈CTは極めて有用であった.
ISSN:0918-6778
1881-767X
DOI:10.11401/jsvs.19-00014