腸重積を契機に発見された胸壁脂肪肉腫小腸転移の1例

症例は69歳,男性.約1年前に他院で左前胸部脂肪肉腫に対して広範囲切除術を施行され,外来経過観察中であった.食思不振,間欠的な心窩部痛を主訴に当院を受診した.腹部単純CTでは,上行結腸肝弯曲部近傍に至る回腸の重積像を指摘された.先進部には腫瘍性病変の存在が疑われ,腹痛も高度であったため緊急手術の方針となり,腹腔鏡下回盲部切除術を施行した.摘出標本では,Bauhin弁より20cm口側に3cm大の隆起性病変を認め,同部位を先進部とした腸重積であった.術後経過は良好で,術後10日目に退院となった.病理学的には左前胸部脂肪肉腫と同様の組織像を呈し,同部位からの転移性病変と診断された.脂肪肉腫の小腸転移...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 82; no. 3; pp. 571 - 576
Main Authors 山下, 真司, 尾嶋, 英紀, 毛利, 靖彦, 橋本, 清, 川村, 幹雄, 伊藤, 秀樹
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2021
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.82.571

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Summary:症例は69歳,男性.約1年前に他院で左前胸部脂肪肉腫に対して広範囲切除術を施行され,外来経過観察中であった.食思不振,間欠的な心窩部痛を主訴に当院を受診した.腹部単純CTでは,上行結腸肝弯曲部近傍に至る回腸の重積像を指摘された.先進部には腫瘍性病変の存在が疑われ,腹痛も高度であったため緊急手術の方針となり,腹腔鏡下回盲部切除術を施行した.摘出標本では,Bauhin弁より20cm口側に3cm大の隆起性病変を認め,同部位を先進部とした腸重積であった.術後経過は良好で,術後10日目に退院となった.病理学的には左前胸部脂肪肉腫と同様の組織像を呈し,同部位からの転移性病変と診断された.脂肪肉腫の小腸転移は少なく,さらに腸重積を生じる症例は稀であるため文献的考察を加え報告する.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.82.571