マダニ細胞の特徴とその有用性

「1. マダニ細胞の歴史」1950年代から様々な研究者によってマダニ由来細胞の樹立が試みられてきたが, 長らく成功には至らなかった. 世界で最初のマダニ細胞が報告されたのは1975年であり, VermaらによってRhipicephalus appendiculatus Neumann, 1901の実験室維持株から3種類の細胞が樹立された(Verma et al.,1975). それ以来, マダニ細胞の数は増え続け, 細胞認証データベース(Cellosaurus:https://web.expasy.org/cellosaurus/)によると, 2019年7月時点で登録されているマダニ細胞数は9...

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Published inMedical Entomology and Zoology Vol. 70; no. 4; pp. 175 - 179
Main Author 中尾, 亮
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本衛生動物学会 25.12.2019
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ISSN0424-7086
2185-5609
DOI10.7601/mez.70.175

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Summary:「1. マダニ細胞の歴史」1950年代から様々な研究者によってマダニ由来細胞の樹立が試みられてきたが, 長らく成功には至らなかった. 世界で最初のマダニ細胞が報告されたのは1975年であり, VermaらによってRhipicephalus appendiculatus Neumann, 1901の実験室維持株から3種類の細胞が樹立された(Verma et al.,1975). それ以来, マダニ細胞の数は増え続け, 細胞認証データベース(Cellosaurus:https://web.expasy.org/cellosaurus/)によると, 2019年7月時点で登録されているマダニ細胞数は91株で実に8属21種のマダニに由来する(Table 1). しかしながら, それら全てが現在でも継代維持あるいは保存されているわけではなく, すでに失われて利用不可能なものも含まれる. 「2. マダニ細胞の樹立方法」これまでに樹立されたマダニ細胞の多くは, 発生段階のマダニ卵に含まれる胚(embryos)を材料に樹立されてきた.
ISSN:0424-7086
2185-5609
DOI:10.7601/mez.70.175