腹腔鏡下に切除した横隔膜下気管支原性嚢胞の1例

症例は64歳,男性.前胸部不快感の精査で撮影したCTで横隔膜下腫瘤が発見され,当科へ紹介となった.CTでは横隔膜下に25mm大の境界明瞭な軟部腫瘤を認め,MRIやPET-CTでも確定診断は得られず,悪性の可能性を考慮して腹腔鏡下腫瘤摘出術の方針とした.腫瘤は左横隔膜下の肝鎌状間膜付近に位置しており,被膜を損傷することなく切除しえた.病理組織検査では多列線毛上皮に内腔が裏打ちされた嚢胞を認め,嚢胞壁には結合織を介して平滑筋層を認め,気管支原性嚢胞と診断した.気管支原性嚢胞は胎生期前腸由来の先天性嚢胞であり,腹部領域での発生は非常に稀である.腹腔鏡下に切除した横隔膜下気管支原性嚢胞の1例を経験した...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 84; no. 1; pp. 63 - 69
Main Authors 佐野, 渉, 篠田, 公生, 安藤, 克彦, 豊田, 亮彦, 知久, 毅, 橋場, 隆裕, 内藤, 慶
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2023
Subjects
Online AccessGet full text
ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.84.63

Cover

More Information
Summary:症例は64歳,男性.前胸部不快感の精査で撮影したCTで横隔膜下腫瘤が発見され,当科へ紹介となった.CTでは横隔膜下に25mm大の境界明瞭な軟部腫瘤を認め,MRIやPET-CTでも確定診断は得られず,悪性の可能性を考慮して腹腔鏡下腫瘤摘出術の方針とした.腫瘤は左横隔膜下の肝鎌状間膜付近に位置しており,被膜を損傷することなく切除しえた.病理組織検査では多列線毛上皮に内腔が裏打ちされた嚢胞を認め,嚢胞壁には結合織を介して平滑筋層を認め,気管支原性嚢胞と診断した.気管支原性嚢胞は胎生期前腸由来の先天性嚢胞であり,腹部領域での発生は非常に稀である.腹腔鏡下に切除した横隔膜下気管支原性嚢胞の1例を経験したので報告する.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.84.63