心臓旋回性興奮動態の位相分散解析

頻脈性不整脈の発生には旋回性興奮波(Spiral Wave, SW)が関与しており、除細動治療や焼灼治療、薬物治療等において、SWの停止や発生の抑制を目的とする様々な治療が行われている。発生・移動・消滅を繰り返す複雑なSWのダイナミクスを明らかにする事は、効果的なこれらの不整脈治療の実現のために重要であるが、高時空間分解能でSWを計測可能な光学マッピング法を用いてもなお、SW中心の追跡による定量的なSW動態解析はこれまで困難であった。本発表では、SWの定量解析のために我々が開発した位相分散解析法について紹介する。本手法は、SW発生時の心臓各点の周期的興奮の位相を表現した位相マップにおいて、各点...

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Published inTransactions of Japanese Society for Medical and Biological Engineering Vol. Annual56; no. Abstract; p. S149
Main Authors 富井, 直輝, 本荘, 晴朗, 瀬野, 宏, 山崎, 正俊, 柴田, 仁太郎, 佐久間, 一郎
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 日本生体医工学会 2018
Japanese Society for Medical and Biological Engineering
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ISSN1347-443X
1881-4379
DOI10.11239/jsmbe.Annual56.S149

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Summary:頻脈性不整脈の発生には旋回性興奮波(Spiral Wave, SW)が関与しており、除細動治療や焼灼治療、薬物治療等において、SWの停止や発生の抑制を目的とする様々な治療が行われている。発生・移動・消滅を繰り返す複雑なSWのダイナミクスを明らかにする事は、効果的なこれらの不整脈治療の実現のために重要であるが、高時空間分解能でSWを計測可能な光学マッピング法を用いてもなお、SW中心の追跡による定量的なSW動態解析はこれまで困難であった。本発表では、SWの定量解析のために我々が開発した位相分散解析法について紹介する。本手法は、SW発生時の心臓各点の周期的興奮の位相を表現した位相マップにおいて、各点周辺の空間的な位相のばらつきを位相分散値として評価することで、SW中心を検出する。本手法により、従来のSW中心検出法と比べ、SW中心の追跡精度が大きく向上した(99.8%)。また各点で時間的に変化する位相分散値を平均した累積位相分散マップを作成した結果、細動等の一見複雑な旋回興奮現象における、SW中心の高頻度な移動経路を定量的に導出可能である事が示された。これらの結果から、位相分散解析は不整脈治療の最適化のための診断指標として有用であると考えられる。
ISSN:1347-443X
1881-4379
DOI:10.11239/jsmbe.Annual56.S149