第30回日本国際保健医療学会学術大会ミニ・シンポジウム「タテからヨコへ〜リソースをどう使うか〜UHCの経験と応用」報告

「要旨」日本において1950~60年代の結核対策というタテのシステムは, 1961年に形が整ったヨコのシステムである皆保険制度の発展を助けた. タテとヨコは競合するものではなく, 相互に作用しあうものであり, それは現在における結核対策をはじめとする, マラリア, HIV/AIDS対策などタテの介入とユニバーサルヘルスカバレッジ (UHC) というヨコの介入に関しても同様であるべきである. 「I. はじめに (林玲子)」2000年に設定されたミレニアム開発目標 (MDGs) では, エイズ・マラリア・結核の蔓延を食い止め, 減少させることが謳われ, 並行して設立された世界基金の財政的裏付けを得...

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Published inKokusai Hoken Iryo (Journal of International Health) Vol. 32; no. 1; pp. 27 - 36
Main Authors 島尾, 忠男, 林, 玲子, 石川, 信克, 島崎, 謙治, 杉下, 智彦
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本国際保健医療学会 2017
JAPAN ASSOCIATION FOR INTERNATIONAL HEALTH
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ISSN0917-6543
DOI10.11197/jaih.32.27

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Summary:「要旨」日本において1950~60年代の結核対策というタテのシステムは, 1961年に形が整ったヨコのシステムである皆保険制度の発展を助けた. タテとヨコは競合するものではなく, 相互に作用しあうものであり, それは現在における結核対策をはじめとする, マラリア, HIV/AIDS対策などタテの介入とユニバーサルヘルスカバレッジ (UHC) というヨコの介入に関しても同様であるべきである. 「I. はじめに (林玲子)」2000年に設定されたミレニアム開発目標 (MDGs) では, エイズ・マラリア・結核の蔓延を食い止め, 減少させることが謳われ, 並行して設立された世界基金の財政的裏付けを得て, 疾病対策というタテ (Vertical) の介入をもたらした. 一方, 2015年に国連が採択した「持続可能な開発のための2030アジェンダ (SDGs)」においては, その目標3.8にユニバーサルヘルスカバレッジ (UHC : Universal Health Coverage) が明確に位置づけられ, 保健システムの普遍的な拡張, というヨコ (Horizontal, Integrated) のアプローチが求められている.
ISSN:0917-6543
DOI:10.11197/jaih.32.27