肺動脈絞扼術 従来の適応から新しい適応まで

「緒言」先天性心疾患(congenital heart disease:CHD)は心臓発生過程で何らかの問題があり, ヒトの正常循環である"短絡のない2心房2心室直列循環"が確立できなかった状態である. 直列循環とは体循環と肺循環が連続したものをいう. CHDの多くは(1)接続の異常, (2)中隔形成の異常, (3)各構成要素の異常(心室, 心房, 大血管, 弁などいずれの欠損を含む低形成や異形成など)のいずれか, もしくは組み合わさった構造異常を伴っている. CHDの外科治療の目標は, 左右短絡のない直列循環を目指すもので, これを修復術という. 修復術には"左...

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Published in日本医科大学医学会雑誌 Vol. 19; no. 2; pp. 148 - 155
Main Author 佐々木, 孝
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本医科大学医学会 01.04.2023
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ISSN1349-8975
1880-2877
DOI10.1272/manms.19.148

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Summary:「緒言」先天性心疾患(congenital heart disease:CHD)は心臓発生過程で何らかの問題があり, ヒトの正常循環である"短絡のない2心房2心室直列循環"が確立できなかった状態である. 直列循環とは体循環と肺循環が連続したものをいう. CHDの多くは(1)接続の異常, (2)中隔形成の異常, (3)各構成要素の異常(心室, 心房, 大血管, 弁などいずれの欠損を含む低形成や異形成など)のいずれか, もしくは組み合わさった構造異常を伴っている. CHDの外科治療の目標は, 左右短絡のない直列循環を目指すもので, これを修復術という. 修復術には"左右短絡のない2心房2心室直列循環"にする解剖学的修復術と, 全身から戻ってきた体静脈血を, 右心室を経由させずに肺循環を通過・ガス交換させて体心房に導き, 体心室から大動脈への拍出で全身に供給させる"左右短絡のない1心室直列循環"を作る機能的修復術(Fontan型手術)がある.
ISSN:1349-8975
1880-2877
DOI:10.1272/manms.19.148