術後7年半で大伏在静脈グラフトの血栓により固有冠動脈の塞栓症を発症した1例

症例は84歳,男性.2001年に不安定狭心症(unstable angina pectoris;UAP)で入院.左前下行枝(left coronary artery;LAD)#6と右冠動脈(right coronary artery;RCA)#2-3に経皮的冠動脈インターベンション(percutaneous coronary intervention;PCI)を施行し,金属ステント(bare metal stent;BMS)を留置した.その後#6のBMS内再狭窄を繰り返すため,2003年4月にオフポンプ冠動脈バイパス術〔左内胸動脈グラフト−LAD,大伏在静脈グラフト(saphenous vei...

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Published in心臓 Vol. 44; no. 11; pp. 1393 - 1398
Main Authors 大谷, 拓史, 小林, 一士, 中村, 浩章, 高橋, 政夫, 鯨岡, 健, 大西, 隆行, 大西, 祐子, 丹羽, 昭博, 磯部, 光章, 永田, 恭敏, 立花, 恵子, 梅澤, 滋男, 村本, 容崇
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益財団法人 日本心臓財団 15.11.2012
日本心臓財団・日本循環器学会
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ISSN0586-4488
2186-3016
DOI10.11281/shinzo.44.1393

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Summary:症例は84歳,男性.2001年に不安定狭心症(unstable angina pectoris;UAP)で入院.左前下行枝(left coronary artery;LAD)#6と右冠動脈(right coronary artery;RCA)#2-3に経皮的冠動脈インターベンション(percutaneous coronary intervention;PCI)を施行し,金属ステント(bare metal stent;BMS)を留置した.その後#6のBMS内再狭窄を繰り返すため,2003年4月にオフポンプ冠動脈バイパス術〔左内胸動脈グラフト−LAD,大伏在静脈グラフト(saphenous vein graft;SVG)−RCA #4PD〕を施行,2006年の造影でグラフトの開存を確認していた.2010年9月下旬,UAPにて再度入院.SVGの近位部に,造影上血栓性病変を認めた.末梢塞栓を起こす可能性を考慮し,固有冠動脈に対してPCIを施行し,経過良好で退院したが,11月上旬,急性下壁心筋梗塞を発症して入院した.緊急造影でRCA #4PDのSVG吻合部に血栓を認め,血栓吸引とバルーン拡張を繰り返すことにより,末梢の血流が改善したため,SVGの血栓が移動して塞栓症を発症したと考えた.末梢に残存した血栓は,亜急性期には消失した.変性したSVGの血栓が固有冠動脈に塞栓を起こした症例報告はなく,貴重な症例と考えられ,ここに報告する.
ISSN:0586-4488
2186-3016
DOI:10.11281/shinzo.44.1393