心筋ストレインを用いたTAVIによる心機能の影響

大動脈弁狭窄症に対する,経カテーテル的大動脈弁置換術(transcatheter aortic valve implantation; TAVI)の治療前後における,心機能の変化について,心筋ストレインを用いて検討した。対象はTAVIを施行した20例で,TAVI術前,術後急性期,および術後慢性期に心エコー図検査を施行し,左室心筋全体の長軸方向の収縮指標であるglobal longitudinal strain(GLS)を解析した。解析した結果,TAVI術前の20例平均のGLSは−11.5%,術後急性期のGLSは−12.0%,術前と術後急性期のGLSに有意差を認めなかった(p = 0.09)。一...

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Published in医学検査 Vol. 68; no. 4; pp. 663 - 670
Main Authors 宮元, 祥平, 上田, 彩未, 東條, 真依, 清遠, 由美, 谷内, 亮水, 青地, 千亜紀
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本臨床衛生検査技師会 25.10.2019
日本臨床衛生検査技師会
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ISSN0915-8669
2188-5346
DOI10.14932/jamt.18-130

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Summary:大動脈弁狭窄症に対する,経カテーテル的大動脈弁置換術(transcatheter aortic valve implantation; TAVI)の治療前後における,心機能の変化について,心筋ストレインを用いて検討した。対象はTAVIを施行した20例で,TAVI術前,術後急性期,および術後慢性期に心エコー図検査を施行し,左室心筋全体の長軸方向の収縮指標であるglobal longitudinal strain(GLS)を解析した。解析した結果,TAVI術前の20例平均のGLSは−11.5%,術後急性期のGLSは−12.0%,術前と術後急性期のGLSに有意差を認めなかった(p = 0.09)。一方,術後慢性期のGLSは−14.4%で,術前とのGLSに有意差を認めた(p < 0.01)。また,治療前後において,左室駆出率(left ventricular ejection fraction; LVEF)に著変はなかった。今回の検討により,TAVI術前と術後慢性期とのGLSに有意差を認め,大動脈弁の治療を行うことで,継続的に左室長軸方向の心筋機能は改善するものと思われた。また,TAVI前後ではLVEFに著変はなかったが,GLSでは改善した。GLSはLVEFではわからない収縮異常を検出することが可能であり,心臓弁膜症においても心機能の評価には,心筋ストレインが有用であると思われた。
ISSN:0915-8669
2188-5346
DOI:10.14932/jamt.18-130